住宅ローンの固定期間と金利差の関係
どうも千日です。千日の住宅ローン無料相談.comを始めてから、金利について見解を求められる事が増えました。
特にトランプ大統領以前と以後で金融市場はガラッと変わりましたからね。
これからどうなる?
どうしたらいい?
これから35年という未知の期間に渡って住宅ローンを組もうとする方々に、そんな不安があって当然だと思います。
今日はこんなご相談メールが飛び込んで来ました。
はじめまして。いつもブログ楽しく読んで勉強させて頂いております。
トランプ政権発足後の長期金利の上昇が著しいですが、
- 10年固定と20年固定の金利差がどのくらいのレンジ内ならリスクに回避に舵を切って20年固定を取るべきか?
- 逆にどのくらい乖離したら金利上昇リスクは飲み込んで短期の10年で抑えるべきか?
千日様の意見として一般的な指針をお聞かせ下さいますか?
三十代前半独身、結婚予定あり、新築マンション購入予定の2017/3末に融資実行を前提にお願いします。
このような相談ケースについては、まず相談者にメールで回答してから、千日の住宅ローン無料相談.comの記事にするのです。
でも『一般的な指針をお聞かせ下さい。』というご依頼ですし、こういうポイントで悩む方も多いと思うのです。
そこで、住宅ローンニュースサイトとしての位置づけである、この千日のブログでお答えしようと思います。
では、始めます。
目次
住宅ローンの固定期間によって金利差はどう決まるのか?
まずは、ここからでしょうね。
住宅ローンは金融機関が我々に販売する『商品』です。
そして金利とは住宅ローンの『価格』のように扱われてますね。
と、ここで
価格なのにパーセンテージだなんて変でしょ。
と思った方はなかなかのセンスの持ち主です。そうです。パーセンテージは割合であって価格じゃありません。
住宅を購入する資金を金利という割合を乗じた価格で貸しますよ。
これが住宅ローンの『価格』ですね。
我々にとっての価格はあくまで¥マークの単位で測定されたものだけです。コレ結構大事なポイントです。
金融機関の調達金利と運用金利
これに対して住宅ローンを売る銀行などの金融機関は、それこそ¥よりも%で判断するケースが多いです。
つまり、住宅ローンを貸すためには市場から円を調達してこなくてはなりません。つまり借りるのです。その借り入れの金利を「調達金利」と呼んでいます。
そして、我々に貸す住宅ローンその他様々な投資の利回りを総称して「運用金利」と呼んでます。
つまり、調達金利よりも高い運用金利にすることで銀行は利益を出しているのですね。
仕入値に利益を乗せた売値という感覚なんです。
ですから、
- 10年固定金利は10年間金利を固定して銀行がお金を借りる時にかかる金利に利益を上乗せして決められます。
- 20年固定金利は20年間金利を固定して銀行がお金を借りる時にかかる金利に利益を上乗せして決められます。
案外、単純なんですよね。もちろん売りたい商品(住宅ローン)については薄利にして客寄せに使うこともありますので、完全にどの商品も同じ利益とは限りません。
しかし、そんなのは他の小売業でも同じことです。銀行だから特殊だなんてことは無いのです、こと住宅ローンに関しては。
金融市場の市場の原理
お寿司屋さんが魚市場から季節の旬の魚を仕入れて我々に寿司を提供しているように、銀行も金融市場からその時の相場で資金を調達して我々に住宅ローンを提供しているのですね。
では金融市場の長期金利はどうやって決まるのでしょうか?
答えは「市場」の原理です。
普段目にしないですから、なんだか良くわからない世界だと思ってしまいがちですが、同じ人間がやってることなんです。どうってことないです。
- ほしい人が多いと(需要が高いと)相場も高くなる。
- ほしい人が少ないと(需要が低いと)相場も安くなる。
これだけです。
市場にはそれこそいろんな金融商品がありますけど、長期の資金の相場(金利)については国債の利回りが基準になるんですね。
言ってみれば、お米みたいなものです。誰もが必ず買うので、市場の長期金利の代表的な指標になりうるわけですね。
つまり、住宅ローンの固定金利の元を辿ると、その時の投資家の利回りだったということになります。
投資家は儲かるところに資金を投入しますよね。長期の金利が高いとみれば国債などの長期の投資にカネを投入します。
逆に長期の金利が低いとみれば国債を売って株式などのリスク投資に走ったりするんです。
日銀の考えている適切な長短金利差
投資の世界での金利と期間の関係はイールドカーブという曲線グラフで表されます。
こんなカーブです。
普通は期間が長いほど高い利回りを要求するので上記のようなカーブになるわけです。
今のイールドカーブは長期も短期もそんなに変わらないなだらかなイールドカーブなんです。
日銀はこのイールドカーブを適切な形にしようとしていて、金融市場に介入して長期金利を操作しています。
- 短い期間は低いまま
- 10年は0%程度
- 長い期間は高く
という感じの曲線を頭に描いてます。
住宅ローンの利用者にとって金利差とは何か?
日銀が考えるようなイールドカーブを住宅ローンの立場からも設定して、それに沿って住宅ローンを決められたらどうでしょう?
ほほ〜なんか良さそう?
しかしですよ。
我々住宅ローンの利用者は、金融市場の投資家のように簡単に乗り換えるわけにはいかないですよね。
なんでかというと、金利タイプや銀行の乗り換えをするのに必要な手数料がバカ高いからです。
ああゆう曲線グラフが書ける理由は、自由に乗り換えられる事が、大前提としてあるのです。
金利に着目して意思決定するのは、そぐわないと千日は考えています。
金利差に意味なし金額差に注目
では何を元に意思決定すれば良いのか?
答えは金額です。実際に元本に金利をかけて出てくる住宅ローンの『価格』を見て決めるんですよ。要するに『ナンボやねん?』という世界です。
- 固定期間が10年と20年でどれだけ金利が違うか?
これに意味はありません。
- 固定期間が10年と20年でどれだけ元利均等返済額が違うか?
これを見て決める訳です。
つまり、住宅ローンの利用者の世界には『イールドカーブ』のような統計的な線引きはありません。
もし仮にできたとして、例えば平均年収とか平均物件価格とかで書けたとして『だから何?』です。
実態として自分に合った住宅ローンでなければ意味無いんですよね。フルオーダーメイドなんです。
例として千日の住宅ローン無料相談.comで使ったシミュレーションをお見せしましょう。
新生銀行10年固定と20年固定の金利差0.15%は?
借換のケースです。
- 元本1,500万円
- 残り期間20年
- 10年固定は0.95%
- 20年固定は1.1%
月の返済額に引き直すと千円位の違いになるんですね。10年固定は68,650円、20年固定は69,665円です。
10年後の残高はほぼ僅差です。
つまり、10年固定と20年固定の金利差0.15%とは…
- 月に1,000円位余分に払えば10年後にさらに10年固定出来るということ。
このように、住宅ローン利用者は認識すべきなのです。
これは、借入元本が1,500万円の人の場合だけです。元本が2倍の3,000万円になれば、価格は月2,000円になりますね。
元本が10倍になれば、月10,000円です。
収入や家族構成によっても、この費用の見方は全然違ってきます。
この方の場合は…
たった千円なら20年固定した方が良いでしょう。
とはなりませんでした。
なぜか?
定年までの年数は何年かによっても違ってくる
定年まであと約10年だったからです。いくら20年固定の『価格』が安かろうが、意味無いんですよね。
会社をリタイアし、収入が年金に切り替わるからです。つまり、住宅ローンを払うと生活費が足りなくなってしまう状況になるという事です。
家計に対する負担の上では10年後に跳ね上がることが「確定」している20年固定ということです。
20年固定の本来のメリットをちゃんと享受できないのに、固定期間にわたって10年固定よりも高めの利息を払うことになるのは損ですよね。
固定期間については、元利均等返済額の差に加えて…
- その固定期間が終わった後に何があるか?
が重要なファクターになってくるのですね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
金融機関のホームページや広告には『金利』しか載ってませんよね。しかし金利だけで判断してはいけないのです。
金利はもちろん大事です。
しかし、それは金利を使って元利均等返済額を計算するからです。
金利が上がる下がるっていうのは、単なる『印象』でしかありません。意思決定の軸に持ってきてはいけないのですよ。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
住宅ローンの相談に特化したサイト千日の住宅ローン無料相談.comとの棲み分けとしては以下のように決めました。
- 千日のブログでは一般的な住宅ローンの考え方や関連ニュースを取り扱う。
- 無料相談.comでは実際の個別の相談案件についての記事を取り扱う。
これで自分の中でスッキリと区分けが出来ました。
皆さまのご相談をお待ちしています。といっても、昨日から相談が詰まってきていてメールフォームを一時的に閉じている状態なんですけどね(*´∀`*)。
来週には復活しますのでよろしくお願いします!
2017年1月28日
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