Facebookが韓国デマサイトを追放 日本でも導入されるフェイクニュース対策とは

「ソウルで日本人女児が強姦された」と韓国に関する偽ニュースが拡散された。Facebookはそのサイトをいち早くアクセス禁止にしていた。その仕組みは。

1. 「大韓民国民間報道」というサイトで「韓国、ソウル市日本人女児強姦事件に判決 一転無罪へ」というデマ記事が公開された。SNSで拡散する中で、Facebookはある対策を取っていた。

大韓民国民間報道

BuzzFeed Newsは1月26日、サイトを運営する男性に直接取材。男性はサイトに載っている情報がすべて創作の「フェイク」であり、目的が広告収入であることを明かした。

関連:韓国デマサイトは広告収入が目的 運営者が語った手法「ヘイト記事は拡散する」

サイトは閉鎖されたが、記事は大きく拡散。FacebookとTwitterで計1万8千件以上シェアされていた。

2. ただ、デマだと判明する前から、Facebookでこの記事をシェアしようとすると、「このリンクには問題がある可能性があります」との指摘が表示されるようになっていた。

Facebook

BuzzFeed Newsが1月24日に確認した画面だ。「悪意があるリンクである可能性がある」との警告が出る。

3. メッセンジャーでは、URLの送信すらできなかった。

Facebook

4. このような対策の背景に、アメリカ大統領選で、「フェイク(偽)ニュース」がFacebookで蔓延した事実がある。

BuzzFeed

BuzzFeed Newsの調査では、大統領選の最後の3カ月間、Facebook上では選挙に関して、主要メディアのニュースよりも、偽ニュースの方が高いエンゲージメントを獲得していたことが判明している。

これを受けたFacebookでは、2016年12月末からニュースが「虚偽かもしれない」場合、報告できるような仕組みを導入。「フェイクニュースの多い地域」(同社広報担当者)である、アメリカやドイツで使えるようになった。

5. 報告を受けた記事は、報道機関などが入る第三者機関のチェックを受ける。虚偽とされた記事には警告や、なぜそのサイトが「フェイク」なのかの理由まで出るようになる。

ただ、日本語にはまだ対応していないという。

今回の「大韓民国民間報道」が、アメリカやドイツのユーザーから通報された可能性もあるが、なぜ「問題がある」とされたのか。

6. BuzzFeed Newsは、Facebookに問い合わせた。日本支社がアメリカ側に確認したところ、自動的に排除されていたことがわかったという。

広報担当者によると、このサイトは今回、スパムかどうかを自動的に判断するシステムに引っかかっていた。

このシステムは、「.xyz」といったドメインなどの情報から、「性質の悪そうなサイトや作られた可能性のあるニュース」を判断するものだ。

「大韓民国民間報道」は通報されたわけではなかったが、自動的に「フェイク」と判断されていたことになる。

7. 今回のサイトの運営者は、BuzzFeed Newsの取材にこう話している。

Kota Hatachi / BuzzFeed

「Twitterで爆発した記事は、1日後にFacebookでシェアされます。その後はFacebookが逆転するようになる。自発的にユーザーがシェアを始めるということです」

運営者が「Yahoo!リアルタイム」を使って拡散状況を確認したところ、病院の院長や企業社長ら「社会的ステータスの高い方たちが釣れた」という。

「釣られても仕方ないですよね。FacebookやTwitterが身近になった以上、シェアすることは、隣の席の人に『こんな話題があったんだ』というのと変わらない。そのときに、『ソースは正しいの?』と聞くことはないですよね。そういう軽い気持ちで広がっていったのでは」

8. 日本では「通報」の仕組みはいつ始まるのか。Facebook広報担当者はこう語る。「情報の質を上げるのが一番の目的なので、どこの地域でも対応できる体制にしたい」

BuzzFeed Japanでは、デマや不正確な情報、いわゆる「フェイクニュース」を継続的に取材しています。そう思われる情報や、そうした情報を拡散している公人を見つけた場合は、BuzzFeed Japanのニュースチーム(japan-report@buzzfeed.com)までご一報をお願いいたします。

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