米国務省、複数の高官が辞任
- 2017年01月27日
バーバラ・プレット・アッシャー、国務省担当特派員
ドナルド・トランプ米大統領の就任から1週間の間に、国務省の高官たちが次々と辞任している。上院での承認手続きが続くレックス・ティラーソン新国務長官にとって、国務省の業務を滞りなく継続させるには、早急に後任を決める必要がある。
辞表を提出したのは、パトリック・ケネディ国務次官(総務担当)を筆頭に、ジョイス・バー次官補(行政担当)、ミシェル・ボンド次官補(領事業務担当)、ジェントリー・スミス外交使節室長。4人は国務省生え抜きのキャリア外交官で、省内と在外公館の運営を長年経験してきた。この4人の不在は、国務省にとって大きな欠落となる。
4人のほかにも期限付きポストについていた国務省高官が複数、辞表を提出した。期限付きポスト職員の辞任は、政権交代期の慣例。
「国務省という組織について長年の経験から知識と記憶を併せ持つベテランが、これほど一度に辞めてしまうのは前例がない。ベテランの経験というのは、なかなか代わりが効かない」。ジョン・ケリー前長官の下で首席補佐官を務めたデイビッド・ウェイド氏は、米紙ワシントン・ポストにこのように話した。
政権交代と共に国務省幹部が、なめらかな引継ぎを可能にするためしばらくは職に留まったり、国務省内の別のポストに就くことは珍しくない。しかし新政権では、ティラーソン新長官は省内幹部を一新する羽目になりそうだ。
辞任した幹部たちはいずれも、外交に対するトランプ大統領の独特の姿勢を理由にはしていない。
辞任した中には、ケネディ次官(67)のように40年強を国務省で過ごした大ベテランもいる。
「正直言って、次官補や次官になってしまうと、ほかに行き場がないんだ」と政府高官は話した。
米外交官の労働権を代表する米外務協会は、政権交代に伴う異動や退職には何一つ異例なことはないと説明しつつ、「短期間に大勢が交代するようだ」とコメントした。
「空席になるポストに必要な能力は、外交関係者以外はなかなか持ち合わせていない、きわめて独特なものだ」と協会は文書で表明。
「新長官は、指導部の幹部ポストにふさわしい職員を、速やかに人選できるはずだと期待している」と強調し、速やかな人選を言外に促した。