スズキ・スイフト ハイブリッドRS(FF/CVT)/スイフトRSt(FF/6AT)

まぎれもない力作 2017.01.31 試乗記 スズキの世界戦略を担うBセグメントのコンパクトカー「スイフト」が、新型にフルモデルチェンジ。欧州仕込みの足まわりを持つ「RS」系の2グレードには、今このクラスに求められるクルマの要素が揃っていた。

フロントシートは出色の出来栄え

先代、先々代と、10年以上にわたりキープコンセプトだったデザインが変わった。スイフトがこれまで持っていたDNAを継承しながら、先々代のデザイナーを再登板させて「変革を持たせた」というのだから、作る側の気合の入りようが分かる。

第一印象は「低く伸びやかなフォルム」だが、実際には全高は低く、全長は短くなっている。ホイールベースの20mm拡大や前後ライトの造形、フロントグリルの大型化などが、良い意味で影響しているのだろう。

室内はナビや空調類のパネルを5度ドライバー側に傾斜させている。ナビ類の視認性はこれだけでかなり違ってくるが、その一方で助手席側に“孤立感”が出ないようバランスを取り、全体として良好な前方視界や左右方向の伸びやかさを確保するなどうまく仕上げている。

フロントシートも出来がいい。最初のタッチは柔らかく、座る者の体を沈ませつつ最後のところでしっかりと支持する。特に臀部(でんぶ)の支え方は絶妙で、開発者によれば「スズキで最も高密度なウレタンを使っている」とのこと。ショルダー周りのサポートも旧型より向上している。ランバーサポート部の張り出しは腰痛持ちの筆者としてはもう少し欲しかったが、十分な仕上がりだ。

一方で、リアシートはリクライニング機構もなく(軽量化のため廃止)、座面全体の寸法は旧型と同じ。それでもホイールベースの拡大やフロントシート下部への足入れ性の改善などにより、居心地は悪くない。ラゲッジルームも奥行きを75mmも拡大。実用性の向上を高く評価したい。

新型のエンジンラインナップは3種類。今回筆者に用意されたのは、スズキではおなじみの1.2リッター直4+マイルドハイブリッドシステムと、すでに「バレーノ」に搭載されている1リッター直3ターボ仕様(ただしレギュラーガソリン仕様に変更済み)の2台。いずれも欧州で足腰をチューニングしたRS系だ。

従来モデルからイメージが一新されたフロントまわり。「RS」系のグレードには、ハニカムメッシュに赤いアクセントが入った専用デザインのフロントグリルが装備される。
従来モデルからイメージが一新されたフロントまわり。「RS」系のグレードには、ハニカムメッシュに赤いアクセントが入った専用デザインのフロントグリルが装備される。
ターボエンジンを搭載した「RSt」のインテリア。2眼式のメーターにステアリングホイールのセンターパッド、エアコンの操作パネルと中央の吹き出し口など、各部に丸をモチーフにしたデザインが用いられている。
ターボエンジンを搭載した「RSt」のインテリア。2眼式のメーターにステアリングホイールのセンターパッド、エアコンの操作パネルと中央の吹き出し口など、各部に丸をモチーフにしたデザインが用いられている。
サイドサポートの張り出したシート形状は全車共通。「RS」系のグレードには、シルバーステッチの施された専用のファブリック表皮が用いられる。
サイドサポートの張り出したシート形状は全車共通。「RS」系のグレードには、シルバーステッチの施された専用のファブリック表皮が用いられる。
リアシートは6:4の分割可倒式。全車に3人分のヘッドレストが備わる。
リアシートは6:4の分割可倒式。全車に3人分のヘッドレストが備わる。

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