裸の王様のハナシ
裸の王様は、新しい服が大好きでオシャレだったらしい。
…と、いきなり唐突だけど、有名なアンデルセンの童話の話。
オシャレな王様が「バカには見えない布地」で作った服を喜んで注文するんだけど、王様も家来も実際にはその布が見えなくて、でもバカにされるから「見えない」なんて誰も言えなくて、パレードに出る。
それを見た国民もバカと思われないよう褒め称える。でも、一人の子供がそれを見て「王様は裸だ!」と叫んで、現場はざわつく。そして群衆も「裸だ!」と叫び出す中、パレードは続く…といった内容(Wikipedia参照)。
オトナの会話の中で、「裸の王様になっちゃダメだよねー」と比喩的に使うときには、「見えないものを見える」なんてウソは吐きたくないけど、
例えば自分が王様で、一番エッジが効いていた頃のレディガガみたいな前衛的なファッション(生肉ドレスとか)を手渡されて、マークジェイコブス的な人に「今はコレがCool!」と言われたら、信じてしまいそうだなと思ってしまった。
洋服の相談は誰にするのか
現代って、「洋服の相談をする機会」がすごく減っていますよね。
ユニクロや無印の店員は「今期のトレンドはこのニットで…」とか声をかけてくることはほぼないですし、店員さんが説明しなくてもオススメはわかりやすく陳列されている。着こなしはwearやinstagramやブログで一般人を参考にすればよい。
そもそも、さくっとネットで買うとしたら、たとえ返品可能でも、似合うかどうか誰も教えてくれません。
百貨店やセレクトショップの店員さんは、人によってはすごく丁寧にコーディネートの提案をしてくれることもあるけれど、
「こちら、今週入荷したばかりです、触り心地も良くて人気で…」
「長さもぴったりですし、今履いているパンツともお似合いですね」
「あそこに立ってるうちのスタッフも履いています…」
(以下略)
といった、どこかで何度か聞いたことのあるやり取りを繰り返すことも多い。
正直、昔の私は「これ、本当にワタシに似合ってるのかな??」 と感じても、店員さんを疑うようで口に出すのは気が引けたし、自分がオシャレのセンスがないだけかもって思い始めると、黙って「そうですかねぇ…」って言って、買うしかなかった(買うんかい)。
まさに、裸の王様を笑えない状況。
でも、店員さんが悪いんじゃなく、自分がまだ未熟だったんです。ホントいっぱい勉強しました。
似合うとBESTは同じとは限らない
骨格スタイルアドバイザーの集まりで、分析の練習をする時、講師の先生に「何が似合うかを論理的に説明する」よう求められるんですが、これがなかなか面白くて。
▶︎関連記事:「似合う服」と自分らしさについて〜全ての花は比べられず美しい〜
丸首かVネックか、フリンジかレースかといった簡易分析で出来るような簡単なものではなく、
「ノーカラーのショートジャケットで、このモデルにとって一番ベストな丈の長さはどの位置ですか?なぜですか?」「ネックレスの粒の大きさはどこまでが似合うボーダーラインだと考えますか?」といった細かなディティールになると、ホント真剣に考えます。
「お似合いですね」は簡単だけど、「ベストですね」は難しい。
ブランドでなくても高くなくても
ミニマリストやシンプルな暮らしを実践する人には、値段は高くなくても良いので「ベスト」な服を着てほしい。
好きと似合うを追求した先に、「自分らしいファッション」が見えてくるし、ベターよりベストの方が少ない服でも愛着が湧くし、何より着ていて気分が良い。
裸の王様のオシャレ心と、少年のような冷静かつピュアな心、そして服を選び取る少しのコツがわかると、オシャレがさらに楽しめます。
それでも困ったら、ファッションに関する相談も適宜受け付けていますので、お悩みがあればお問い合わせ欄からご連絡くださいね。