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2審は「同居母に親権」…東京高裁判決

父提案「面会年100日」認めず

 別居中の両親が長女(9)の親権を争った離婚訴訟の控訴審で、東京高裁は26日、母親と長女の面会交流を年100日程度認める提案をした父親を親権者とした1審・千葉家裁松戸支部判決(昨年3月)を変更し、同居する母を親権者とする判決を言い渡した。菊池洋一裁判長は「面会交流の意向だけで親権者を定めることはふさわしくない」と指摘。「別居前から主に母が長女を監護し、安定した生活をしている。長女の利益を最優先すれば、親権者は母が相当だ」と判断した。

     1審判決は、父の提案を評価して長女の引き渡しを妻に命令しており、離婚相手と子との交流を広く認める「寛容性の原則」を重視した異例の判断として注目された。父側は上告する方針。

     高裁は、寛容性の原則について「親権者を定める際に考慮すべき事情の一つだが、(成育環境の継続性や子の意思といった)他の事情より重要性が高いとは言えない」と指摘。年100日程度の面会提案については、父母の家が片道2時間以上の距離にあるため「身体への負担や学校行事参加、友だちとの交流に支障が生じる恐れがある。月1回程度とする母側の主張が、長女の利益を害するとも認められない」とした。

     1、2審判決によると、いずれも40代の父母は長女が生まれた後に折り合いが悪くなり、母は2010年に当時2歳半の長女を連れて実家に帰った。別の家裁審判で長女を保護、監督する監護権は母にあると認められ、父と長女の面会は同年9月以降途絶えている。

     面会交流の回数などについて母側は今回の裁判とは別に調停を申し立てている。母に親権が認められた場合の交流回数などの取り決めは双方とも請求していないため、高裁判決は判断を示さなかった。【伊藤直孝、中川聡子】

    母側「常識的な判決」 父側「何も変わらぬ」

     「まさかの紋切り型の判断で憤りを覚えるが、それより前に娘に申し訳ない」。判決後の記者会見で父親は落胆した様子で話した。

     代理人の上野晃弁護士は「長女は父母どちらも好きだろうと思って『面会100日』を提案した。子どもの意思を尊重したが、高裁は今まで通り何も変わらず『継続性の原則』だけで判断した」と批判。上告して最高裁の判断を求めるという。

     一方、母親は「とにかく安堵(あんど)した。夫にも穏やかな気持ちで娘に再会してほしい」とのコメントを発表した。代理人の斉藤秀樹弁護士は記者会見で「極めて常識的な判決。子の幸せを考えて親権者を決めるべきだという判断が示された」と評価した。

     今後の面会交流について、母側は「第三者の仲介が必要」として、公益社団法人「家庭問題情報センター」(FPIC)の仲介を提案している。父側は「監視付きの面会は子どもの利益にならない」と反対し、着地点は見いだせていない。

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