[PR]

 コンピューターグラフィックス(CG)で本物そっくりに描かれた裸の女児の画像を作成し販売したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造・提供)の罪に問われたグラフィックデザイナー高橋証(あかし)被告(56)=岐阜市=に対し、東京高裁(朝山芳史裁判長)は24日、一部を無罪としたうえで、罰金30万円とする判決を言い渡した。執行猶予付きの懲役刑などとした一審判決より量刑は軽くなったが、弁護側は「芸術活動への萎縮効果が大きい」として、即日上告した。

 判決は、「一般人が見て実在の児童を忠実に描写したと認識できれば、児童ポルノとして処罰対象となる」とした昨年3月の一審・東京地裁判決を支持。一審同様、起訴された34点の画像のうち3点を「性的刺激を緩和するような思想性や芸術性は認められない」として児童ポルノと認めた。一方、高橋被告が販売した二つのCG集のうち、3点の画像を含まないCG集も有罪としたのは誤りだとして、この点については無罪とした。

 弁護側は、同法の規制は児童個人の保護が目的で、製作当時に描かれた人が18歳未満でなければ適用できないと主張した。だが判決は「児童を性欲の対象とみる風潮の広がりを防ぎ、児童の性的虐待を防ぐという社会的な意味もある」と指摘し、退けた。

 児童ポルノ規制について著作がある園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法)は「現行法は、立法の過程で実在する児童の性被害からの保護が目的とされたが、判決は、児童を性の対象とする風潮まで処罰しようとしており問題だ。CGによる児童ポルノを規制するなら立法で解決するべきだ」と話した。(千葉雄高)