昨年12月7日、忠南礼山郡徳山面(チュンナム・イェサングン・トクサンミョン)事務所職員は「ナムウンドゥル喪輿(サンヨ、重要民俗資料31号、写真)保護閣に掃除しに行って仰天した。
喪輿の上にあった装飾品が全部はずされていた。
国家指定文化財であるこの喪輿は興宣大院君(フンソンテウォングン)が160年前、京畿道漣川(キョンギド・ヨンチョン)にいた父、南延君(ナムヨングン)の墓を伽揶山(カヤサン)のふもとに移す際に使い、当時、運柩を手伝った隣近住民たちに与えた答礼品だ。
文化財庁によると昨年、全国で起きた文化財(地方文化財含む)盗難事件は56件。失くした遺物は計2531点になる。このうち取り戻せたものはわずか2.3%の57点のみだ。
犯人は窃盗の対象を古文書、幀画など小品だったのが門扉、石仏、石塔にまで拡大し、さらには建物の基柱まで引き抜いていく。
管理のずさんな地方の宗家、郷校、庵などが主なターゲットだ。
退渓李滉(テゲ、イ・ファン)の子孫である李セジュン(60、真城李氏の後継者)さんは、2000年8月「慶北安東臥竜面(キョンブック・アンドン・ワリョンミョン)の本家に17回も泥棒に入られ、1人きりでいる老母が危ない目に遭った」とし、一族の古文書2000点をソウル歴史博物館に寄贈した。
◆ずさんさ目立つ管理体系=このように国宝級はもちろん、全国の地方文化財が無防備で、このような盗難もずさんな管理による。文化財庁はソウル5大宮と王陵、七百義塚、顕忠祠(ヒョンチュンサ)などの文化財のみを直接管理し、残りの指定文化財の管理は所在地市や郡に任せている。文化財庁は該当の市、郡の管理実態を監督する権限はない。
韓国伝統文化学校チェ・ジョンホ文化財管理学科教授は「盗難文化財流通を基本的に阻止するのが最上策」と話す。また「文化財をデータベース化して警察署や税関などで盗難品かどうかを簡単に確認できるようにしなければならない」と強調した。