【社説】崔順実被告の国政介入を「うそだらけ」という朴大統領

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は25日、メディアのインタビューで、親友・崔順実(チェ・スンシル)被告による国政介入疑惑を全面否定した。「向精神薬に依存している」「大統領府に祈とう師を呼んで儀式をした」など自身をめぐる疑惑について、朴大統領は「そのようにとんでもないうそを作り出さなければならなかったとしたら、弾劾の根拠はそれほど脆弱(ぜいじゃく)なものなのかと思った」「どれだけ多くの誤解と虚構とうそが山ほど積まれているのかを逆に証明することになるだろう」と述べた。事実、向精神薬や祈とう師に関する話には根拠がない。ところが、朴大統領は「一事が万事」とばかりに、これまで確認・解明されたことまですべて「うそ」だと言った。

 朴大統領は「(崔順実被告が)どんな私的利益をどのように手にしたのかは本当に初めて聞く話だ」とも言った。さらに、崔順実被告が長官・次官・大統領府首席秘書官の人事に関与したことについては「人事は1人や2人が望んだからと言って推挙されるシステムでは決してない」、同被告が政策や機密事項を知っていたことについても「話にならない」、「文化人ブラックリスト」も「知らない」と一蹴(いっしゅう)した。だが、こうした否定は元大統領府政策調整首席秘書官の安鍾範(アン・ジョンボム)被告、元大統領府秘書官のチョン・ホソン被告、元文化体育観光部(省に相当)第2次官の金鍾(キム・ジョン)被告らが検察や法廷で述べた証言とは対照的だ。

 今回の事件の核心は、大統領が複数の大企業から800億ウォン(約780億円)近いカネを受け取り、それをなぜ公人ではなく崔順実被告という無資格者に丸投げしたのかという点だ。公益目的だというなら、なぜそのようにしたのかを国民の多くは理解できずにいる。今回も朴大統領はそれについて説明していない。だからこそ、「大統領退任後に(崔順実被告が設立にかかわった)ミル財団・Kスポーツ財団を私的に利用しようとしたのではないか」という疑いが晴れないのだ。

 朴大統領はこの「崔順実疑惑」について「ずいぶん以前から(誰かに)企(たくら)まれていたのではないかという気がする」と言った。既に明らかになっている通り、国政介入が発覚したのは、崔順実被告一味の内紛がきっかけだった。それが誰かの企みなのかどうかは分からない。朴大統領はまた、同大統領の退陣を求めるろうそくデモを「狂牛病デモ」狂牛病騒動(2008年に牛海綿状脳症〈BSE〉問題で米国産牛肉輸入再開に反対するデモが拡大した際、デマが飛び交った騒動)と似ているとも言った。大統領退陣を求めるろうそくデモに問題がないわけではないが、狂牛病デモと比べるべきではない。

 朴大統領も反論や法的防御権を行使することができる。事実、根拠のない憶測も少なくない。しかし、朴大統領自身も支持者だけに向けた一方的な主張ではなく、一般国民のほとんどがうなずけるような合理的かつ率直な説明をしてほしい。

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