●裁判の概要: ~第1回公判は、2月16日10時から~
武蔵野大学と杏林大学で、それぞれ年間1コマずつ担当している非常勤講師の舞田敏彦さんが、東京地裁に訴状を提出しました。
以下、その概要です。
<提訴の概要>
平成29年(ワ)第1199号
発信者情報開示請求事件
原告 舞田敏彦
被告 株式会社サイバーエージェント
担当 東京地裁民事第7部 い係
第1回公判 2月16日 10時 第402号法廷にて
<提訴の概要 ここまで>
以上の情報は、民事訟廷事務室記録閲覧謄写係に電話をしたら、教えてくれました。
お電話番号は、03-3581-6083ですが、業務の妨げにならないよう、必要な場合だけお問い合わせください。
さて、民事事件の記録(提訴関連資料)は、どなたでも閲覧することができます。閲覧したい方は、東京地裁の14階の先の係までお尋ねください。
ただし、公判の前後は、裁判官が提訴関連資料を使っている可能性がありますので、閲覧に行くことは避けたほうがよいそうです。
もし閲覧に行くのであれば、電話をして確認してから行った方が無難かと思います。
なお、閲覧には150円の収入印紙が必要です(裁判所の地下でも販売しています)。
また、公開の法廷で行われる裁判は,原則として,どなたでも自由に傍聴できます。
ので、2月16日の10時までに東京地裁に行けば、舞田さんの裁判を傍聴できます。
ただし、被告のサイバーエージェント社の代理人が現れるかどうかは、微妙ですので、すぐに終わってしまうかもしれません。
まぁ、舞田敏彦さんを生で見られるだけでも楽しいですよね。
東京都千代田区霞が関1-1-4(地下鉄東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」A1出口から徒歩1分,地下鉄東京メトロ有楽町線「桜田門駅」5番出口から徒歩3分)
●舞田敏彦さんは、何に対する発信者情報開示請求をしたのか(推測)
果たして、舞田敏彦さんは何に対する発信者情報開示を請求したのでしょうか?
訴状の内容は、すでに東京地裁に行けば閲覧可能とのことでしたが、まだ確認していませんので、推測してみます。
まず、サイバーエージェントと言えば、「アメブロ」が思い浮かぶ方も多いでしょう。
そのアメブロに、現在、舞田敏彦さんのデマと不法行為を糾弾する、としている匿名ブログがあります。
<舞田敏彦さんを糾弾している匿名ブログ>
http://ameblo.jp/demita77/entry-12171680654.html
上記ブログによれば、
舞田敏彦さんは無数のデマを流したうえ、
「他にも無数のデマが検証報告されているが、舞田敏彦は、そんな検証結果をつきつけられても、訂正をするどころか、
ツイッターで問い合わせてきた人物を片端からブロックし、自身が流したデマを回収しようとしない」(引用)
と、デマと検証されたうえでも、それを訂正・回収していません。
また、「ガキ中年事件」と名付けられた近隣住人とのトラブルにおいては、
「・他人の私有地への無断侵入
・恫喝
・強制連行
・暴行未遂
・本人を特定できる画像を追加したうえでの「ガキ中年」という誹謗中傷」(引用)
など、多数の不法行為をしているそうです。
なお、このアメブロの目的は、
「本ブログは、公共の事実に関し、公益を目的として、その事実の真実性を訴えていくものである」(引用)
であるとしています。
また、アメブロの最後は以下のように結んでいます。
「我々は、舞田敏彦が謝罪し、すべてのツイッターやブログの晒を削除し、ブロックを解除するまで、あらゆるところで、彼を糾弾する」(引用)
以上が、舞田敏彦さんを糾弾しているアメブロの概要ですが、仮にこのブログが発信者情報開示請求の対象だったとして、どのような結果になるでしょうか。この内容ですと、発信者情報開示には応じられないという裁決で、まず間違いない、という印象です。
理由としては、
発信者情報開示には、「権利侵害が明らかなこと」、そして「違法性阻却理由がないこと」の両方を満たすことが必要だからです。
上記の根拠を、
「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」
http://www.telesa.or.jp/ftp-content/consortium/provider/pdf/provider_hguideline_20160222.pdf#search=%27%E7%99%BA%E4%BF%A1%E8%80%85%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%96%8B%E7%A4%BA%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%27
から抜粋しながら説明します。
まず、「権利侵害が明らかであること」が要件というのは、下記引用のとおり、明確にガイドラインにて定められています。
「発信者情報の開示については、「権利が侵害されたことが明らか」であることを要件として定めている。
ここで、「明らか」とは、権利の侵害がなされたことが明白であるという趣旨であり、不法行為等の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことまでを意味すると解されている」(引用)
さらに、今回のアメブロは、舞田敏彦さんの不法行為を糾弾する意図で書かれています。つまり、(仮に権利侵害をしていたとしても)違法性を阻却する事由も存在します。
なお、「違法性阻却事由」とは、「違法性を否定する理由」という意味です。
ここでは「もし、仮にアメブロの表現が名誉棄損に抵触するものだとしても、その違法性を否定する理由が存在する(ため、違法とはならない)」という意味になります。
それでは、その違法性阻却事由とは具体的にどのようなものであるのか、再度、ガイドラインを見てみましょう。
「名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な社会的評価のことであり、この社会的評価を低下させる行為は名誉毀損となりうるが(最判平成9年5月27日、民集51巻5号2024頁)、当該行為が、公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的に出た場合において、摘示された事実が真実であると証明された場合には違法性がなく、仮に摘示された事実が真実でなくても行為者において真実と信ずるについて相当の理由がある場合には故意・過失がなく、不法行為は成立しないとされている(最判昭和41年6月23日、民集20巻5号1118頁)」(引用)
少し長い引用ですが、かみ砕いて言えば、
・たとえ名誉棄損となりうる行為であっても、その行為が公共の利害に関する事実に関することで、公益を図る目的であり、指摘された事実が真実であると証明された場合、違法性はありません。
ということです。
詳しくは対象のアメブロをきちんと読んで頂きたいのですが、舞田敏彦さんは、ある程度以上の発信力を利用してデマを流しており、そしてそれが証明されても訂正・回収をしていません。
これは公共の利害に関することであり、それを止めさせる行為(アメブロによる情報発信)は公益を目的としています。
そして、多くのデマが適切に検証されており、これは真実といえます。
もう一方の「ガキ中年事件」については、舞田敏彦さん本人が書いたブログのスクリーンショットが残っているわけですから、真実に間違いなく、内容も不法行為が多々行われていることは明らかです。
以上により、「名誉棄損は明らか」ではなく、「違法性阻却事由が存在する」、と言えることになります。
ここまでが、今回の発信者情報開示の提訴が棄却される、と私の考える根拠となります。
●舞田敏彦さんは、なんど発信者情報開示請求を行えば気が済むのか?
ここから先は、すこし話がズレますので、別のエントリーに詳細を書きますが、舞田敏彦さんは、裁判所への提訴こそ今回が初めてのようです。しかし、過去、判明しているだけで3回ほど、メディア運営企業に、発信者情報開示請求を送り、ことごとく却下されています。
3回の送付先は、アメブロ(別のブログの件)、はてな、アマゾン(アマゾンレビューを書いた人の情報を開示請求)です。
その他、舞田敏彦さんのデマ記事を検証したブログ記事に対して、「著作権違反」を盾に、そのブログ記事を強制的非公開に追いやった事案もありました。
<該当ブログ>
詳細は、上記ブログを読んで頂きたいのですが、舞田敏彦さんは、舞田敏彦さんの間違いを、正当な引用の範囲で指摘したブログを、「著作権侵害ダー」と訴えるという行動に出たのです。
自説の批評・批判に対し、正面から反論せずに、著作権を侵害した(実際は正当な引用をしただけ)として批判を封殺する。
これが研究者のやることでしょうか。
実際、舞田敏彦さんは、この件で「はてなブックマーク」上で炎上しました。
<炎上した はてなブックマーク>
ご覧頂ければ分かるとおり、はてブが312もついており、また、コメントのほとんどが、舞田敏彦さんを糾弾する内容となっています。
<炎上はてブのコメントの一部>
・ 間違いを指摘した記事を著作権違反で潰そうとする学者。よく思いついたな。
・己の利己心を満たさんがため、デマと分かりつつデマを流し、人々の恐怖を煽った舞田の罪は重い。
・同じデータ系サイト運営者として予測はしていたが残念な結果に。他山の石として、データに忠実なサイト作りを続けていきたい。追記:コメントありがとうございます。これからも頑張ります
・うわぁ、研究者なのに批評に反論じゃなくてDMCA違反による圧殺で対応しちゃうのか・・・。
・批判や議論に対して訴訟で返すって(´・ω・`)なかなかヤヴァス
・プレジデントに載ってた記事もタイトルが釣りくさいなあ、センセーショナルに見えるように大げさにしているタイプのでモヤッとするなあと思っていたら、そういう人なのか…。
・「おそらく舞田敏彦さんのもう一つの目的はオレの住所・氏名を取得することだと思われた」>怖いなこれ。
・研究者を名乗るものが引用に対して著作権法を使うとは。日本の社会学のレベルの低さが露呈している
・正当・適切な引用に対する著作権違反主張という手段が研究者として不適切なことは言うまでもないが、あの舞田さんという人のTwitterを見るたびに、あの人はもっと疑似相関という概念としっかり向き合うべきだと感じる
・道徳偏差値というものを作ったり、データを使って世論を巧みにミスリードする人だと思ってる。社会学をまともに学んだ人ならわかるがあの人のデータの取り扱いが粗雑すぎ
・学者ではないと自分から認めたようなものやね。
・論文もろくにか書かずにツイッターとかブログばかりやってる社会学者がまともなわけないよね。社会学の中での厳密な議論に耐えきれないいい加減な議論しかできないのは目に見えているのだ
・舞田敏彦って2chにデマ専用スレが立つほど有名なアレな人だったのね・・・。
・舞田敏彦氏ってこういう人だったのか。著作権法を乱用することで相手を黙らせるって社会学者のやることか?
・あ、株式会社 DYM が DMCA を悪用して悪評を隠蔽したのと同じ手法だ。
・デマ常習で有名なのね。批判に対して執拗に噛みついている。
・『DMCA違反の申し立て』が、完全にアレな手段として定着しておるな/学術的批判に対して事務所通せという新しいタイプの人もいたが
・これは…。批判されたことに反論ではなく著作権侵害申立で反応するのって、ヤバい人だと自己申告しているようなものでしょ/というか舞田氏の主張は日頃から交絡因子や擬似相関を考慮せず、とても学者水準ではない
・わー、批判記事を書かれて無断引用だと言い出すとは、何ともわかりやすい逆ギレ
<コメント紹介 ここまで>
舞田敏彦さんについては、他にもいろいろと問題があるので、そちらはまた改めて記したいと思います。