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名優、高倉健さんをしのぶ

達人は達人を知る 撮影現場にみる男の作法(5)

 

2012/8/24

大滝秀治さん(左)は高倉健さんについて「俳優として、大変怖い人」と語った

 大滝さんは地元の漁師として出演しています。

 「大滝さんは健さんについて、『仕事に入ると高倉さんは役を普通に演じられて、だから僕も余分なことを考えずに普通にできて。役者の芝居って言うのは一番難しいのは普通にやることですね。普通にやるためにはよっぽどぎっしりつまってないと。だから僕は高倉さんに非常になるほどと思って感動しております。俳優として、大変怖い人ですね。』とコメント」(撮影日誌2011年11月13日)

 高倉さんを「怖い」といった大滝さんの感性。剣の達人が一太刀まじえただけで相手の強さがわかるように、舞台裏の2人は相手の「怖さ」をお互いに見抜いていたのかもしれません。

 映画「あなたへ」  「新網走番外地」シリーズ、「鉄道員(ぽっぽや)」などでタッグを組んできた高倉健さんと降旗康男監督のコンビ20本目となる作品。脚本は降旗監督が市古聖智氏の原案を脚本家の青島武氏とともに練り上げたオリジナルストーリー。亡き妻から、時をおいて届けられた絵手紙。そこには生前知らされることのなかった「故郷の海に散骨してほしい」との最後の願いが記されていた。託された想いを胸に富山から長崎へ、1200キロの旅に出る主人公。途中で出会う、平凡そうだがどこかに影のある人々とのふれあいが、懐かしく美しい日本の風景を背景に、詩情豊かに描かれていく。

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