日本のメディアも大きく報じていますが、トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を築く大統領令に署名し、近く中東諸国からの入国制限(シリア、イラク、イラン、ソマリア、イエメン、リビア等と伝えられる)と難民の受け入れ一時停止を命じるだろうと報じられています。
おそらく、このうちのシリア難民に関連すると思われますが、ロイターおよびAFPは、彼がシリア内外に避難民のための安全地帯を築くように命ずる大統領令の案を入手したとして、その内容や、若干の他国のコメントを報じています(実はどこだったか、アラブメディアの中にはシリアにも壁を築くように命令すると報じたものがありましたが、明らかにメキシコとの混同であったらしく、すぐ記事は消えてしまいました)
もちろんまだ大統領令の案文が流出したという段階ですから、実際にどうなるかはわかりませんが(まだ彼の外交、軍事問題のチームすらできていない段階)、オバマが一貫して拒否してきた安全地帯の設置が、鉛筆一本で決まるとすれば、トランプは恐るべき(いい意味と悪い意味と両方だが)大統領ということになるのでしょうね。
とりあえず記事の要点のみ

・ロイター電によれば、トランプは近く国防総省と国務省に対して、シリア内外にシリアの避難民のための安全地帯を設置することを命じる命令に署名する由。
その命令では、国務省に対して国防総省と協力して、90日以内にシリア内外に避難民のための安全地帯を設置する計画を作ることを命じている。
この安全地帯は避難民が将来シリアに帰ったり、その地に定住するまでの彼らの安全を確保する為のものの由。
ロイターはさらに、この安全地帯設置は、トランプが2015年以来、米国および欧州のシリア難民問題を解決する唯一の手段であると主張してきたものとコメントしている。
・この報道に関し、国防総省は、まだトランプから何らの支持もないので、コメントできないとしている由
他方在米反政府シリア人グループは、この案を歓迎している由。
ロシア政府は、いまだ米国から何の連絡もないので、コメントできないとしている由(記事はロシアの立場として、従来一貫して、シリア政府の同意を得ない安全地帯の設置には反対してきたとコメント)
トルコの観測筋は、報道が事実であれば、米政府もこれまでのトルコの主張が正しいことに気が付いたということで、今後トルコと米国の協力の道が開かれるであろうとしている由。
(ちなみにトルコは、すでに一部安全地帯の設置に向かっているようで、トルコ首相などは現在、ユーフラティスの盾作戦で、トルコ軍と自由シリア軍が占拠した地域を、政府軍に引き渡すことはない、と発言している)
・多方al arabiya net は、仮にトランプ政権が安全地帯を設置するのであれば、それは米国がさらにシリア情勢に関与することを意味するとコメントしています。
まず、飛行禁止区域を設置するか否かにかかわらず、安全地帯の保護のために、米国および有志連合はさらに多くの航空部隊の派遣が必要となり、さらには地上兵力の派遣も必要であろうとしています。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/american-elections-2016/2017/01/26/أمر-تنفيذي-من-ترمب-بإنشاء-مناطق-آمنة-للمدنيين-في-سوريا.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/1/25/توجه-أميركي-لإنشاء-مناطق-آمنة-بسوريا