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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

トランプの票田「錆びた工業地帯」、実は目覚ましく復活

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第19回】 2017年1月26日
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※写真はイメージです

 トランプ大統領は、ラストベルトの労働者に支持されたといわれる。「ラストベルト」とは、「さびついた工業地帯」という意味だ。そこは、本当にさびついて、どうしようもない地域なのだろうか?

 グーグル・ストリートビューで見ると、意外な実態が浮かび上がる。

「アメリカで最も惨めな都市」だった
クリーブランドは復活した

 ラストベルトの典型は、クリーブランド、ピッツバーグ、デトロイトなどだ。まず、クリーブランドを見よう。

 ここは、五大湖上を運ばれてきたミネソタ産の鉄鉱石と、鉄道で運ばれてきたアパラチア産の石炭が積み下ろされる地で、鉄鋼産業や自動車産業が発達した。1920年には人口が約80万人となり、全米第5の都市になった。

 しかし、60年代以降、重工業は衰退し、市も貧しくなった。78年には、債務不履行に陥った。

 市は衰退の一途をたどり、60年代から70年代にかけては、Mistake on the Lake(湖岸の過ち)と呼ばれた。一時は、「アメリカで最も惨めな都市」とされた。確かにさびついてしまったのだ。

 では、現在はどうか?

 これはグーグル・ストリートビューで見るクリーブランドの中心街だ。

https://www.google.co.jp/maps/@41.5026911,-81.6889693,3a,75y,342.33h,93.71t/data=!3m6!1e1!3m4!1st6K0if8W8xFWYUyhptow9A!2e0!7i13312!8i6656?hl=ja

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

 日本が直面している課題は、実体経済をいかにして改善するかである。それは金融政策によって実現できるものではない。
 金融緩和に依存して長期的に衰退の道を辿っているヨーロッパ大陸諸国と日本。それに対して、新しい情報技術をつぎつぎに開発し、高度なサービス産業に特化して成長しつつあるアメリカとイギリス。両者の差は、イギリスのEU離脱によって、具体的な 形を取りつつある。
 日本はいま、基本的な成長のパタンを大きく変更しなければならない。これは、純粋な研究開発だけの問題ではない。企業の仕組みや社会全体の構造が重要な役割を果たす。

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