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【競馬・ボート・競輪】

[ボート]GI「戸田プリムローズ」あす開幕

2017年1月24日 紙面から

 関東地区で今年最初のGI、開設60周年記念「戸田プリムローズ」があす25日から30日まで6日間、彩の国・戸田ボートで熱戦を展開。昨年のグランプリファイナリスト・桐生順平を目玉に、8人の埼玉侍が豪華遠征陣の前に立ちはだかる。今回の本紙特別企画は黒井達矢、中田竜太、佐藤翼と同世代の秋元哲を熱烈プッシュ。飛躍を飾るにふさわしい舞台で同級生のライバルはもとより、格上相手でも動じることはない。

◆遠回りの8年間

 デビューから約8年。ここまで決して順調とは言えない軌跡をたどってきた秋元哲だが、2017年前期の級別審査では自身最高の勝率7・19をマークした。だが、そんな成績を残しても、もろ手を挙げて喜ぶ気持ちになれなかった。『もっと上でやれる』。その飽くなき向上心が胸を締めつけるからだ。同期で真っ先に優勝を飾るなど、そのポテンシャルの高さは早くから注目を浴びた。ケガや事故点が成長の足かせとなったが今年11月には29歳を迎え、調整力、旋回力、精神力など全ての力がかみ合い、最高の状態で臨むGI地元周年。そして、いまだ届かないSG舞台を思う熱い気持ちを聞いてみた。

 −これまでの選手生活を振り返ってみて。

 「デビューしてからずっと遠回りしてる感じですかね。もっと上でしっかり稼ぐ選手になっている予定なんですけど(笑)。目標についていけてないのがあります」

 −ボートレーサーを目指したきっかけは。

 「小学校からサッカーをやっていたけど、高校はケガで何カ月しかやれてなかった。高校3年のときに大学でサッカーを続けてプロを目指して行くことも考えたけど、他の競技も調べてボートなら自分の体を生かして勝負できると思った。あと一つ、ケガをずっとしてたので、自分が治してあげる側に立つことも頭にあった。でも、どっかやりきれない気持ちがあって、これでアスリート人生を終わりにしたくなかった。あと車も好きだったのでレーサーも考えたけど、小さいころから(モータースポーツを)やらないと難しいらしく、F1で(鈴木)亜久里さんがやってるチーム・アグリに電話して『どうやったらF1レーサーになれますか』ってふざけた質問(笑)もしたけど、小さいころからカートをやってないと厳しいかな、と言われました。でも、ボートの場合はフラット(誰でも初めて)で、体が小さいのも生かせるし自分にあった競技。『これはいいぞ。これでやっていこう』と明確に思いました。やまと学校で水面に対する恐怖心はなかった。楽しかったですよ。今はそういう気持ちが薄れてますけど(笑)。戸田のペアボートでお客さんとして乗せてもらったこともあったけど、あのときの感動は今でも覚えてます。エンジン音や乗ってるスピード感、振動は見た目と全然違って。あれは来ましたね。びびっと」

 −デビューした頃はどんな選手でしたか。

 「気持ち的に一歩引くということはしてなかった。常に『攻める、攻める』というスタイルでした。結果的には事故率は高くなったけど、そういう気持ちはずっと持ってました。(事故率が上がり)そこで得たものがあるとすれば我慢する力ですかね。ベストはタッチ(コンマ00)のスタートなんだけど、そういうのではなく一歩引いた、熱くなってる自分を冷静になって見ることを学びました」

◆新鋭Lで初V!!

 −初優勝は22歳。浜名湖・新鋭リーグでした。

 「いいエンジンを引けたのもあるけど、B1の勝負駆けもあって、第一に事故点を付けないこと。それと複勝(2連対)3本取ればB1だったのでその節はそれが目標でした。優勝戦も事故率が高くなかったらあのレースになってない。(5コースから)普通に攻めたら1周1Mで自分がいる場所も違っていたと思うし、そこで差しというのは普段だったらなかった。でも(差せたのは)たまたまですよ」

 −同支部の近い世代にSGウイナーがいます。

 「桐生さんはデビューしてからずっと追いかけさせてもらってる方です。面倒もすごく見てもらってますがアドバイスとかはもらってません。聞くのは簡単だけど、やっぱり(走りを)見て(技術を)盗む方がすごく考えると思う。聞いてマネして身につけるのと、聞かずに考えて自分でやるのとは結果は同じでも質が違う。自分で考えるので、また違う何かが生まれることもあると思う。でも桐生さんのマネはできないですけど…。ターンの次元が違い過ぎます」

◆ケガしない体に

 −近況のリズムは。

 「何というか今は(勝率)4点ぐらいしかないんですよね。情けないことに…。昨年後半のリズムは大崩れでした。レースを全然走ってないですからね。ケガで9月から2節半ぐらいしか走ってない。でも、成績が悪くなってもケガは理由にならない。ケガしない体作りをしないといけないし、自分がそうやってこなかったからケガをするわけで責任は自分にあると思っています」

 −同支部のなかでも、同い年で活躍している選手がいます。

 「お互い刺激はしあってると思うけど、みんな(黒井、中田、佐藤)もう上に行っちゃったので(笑)。(同期の)黒井もそうだと思うけど、後からデビューした竜太(中田)と翼(佐藤)の意欲、向上心がすごくて、僕らもすごい刺激されてます。上には桐生さんがいたので、僕らは間に挟まれて一番いい場所にいるのかな。このいい流れはずっと続いて欲しいと思ってます」

 −来年は30歳になります。

 「なんか、竜太いわく30歳はオジサンらしいですよ(笑)。家族ができるとみんな落ちついてきますね。自分は30歳だから特別に何かやりたいとか区切るということはないです。今、やれることはしっかりやるだけです」

 −休日の過ごし方は。

 「レースのない日はトレーニングとかしてます。トレーナーさんとマンツーマンでやらせてもらい、プロとしての体作りとかやってます。あと、お酒は毎日、部屋で飲んでます(笑)」

 −SG出場は。

 「出なくちゃいけないですね。そういうところで走らないといけないと思ってます。自分でどっか足らないところがあるので出られないと思う。そういうところをひとつひとつ改善していきたい」

 −現状の自分に求めるものは。

 「自分にとってまず必要なのはターン力ですかね。ターンの質を上げていけば、それが上につながっていくと思っている。足的には出せているとは思うけど、もう少し出せるようにならないと(上のステージには)いけないと思っています。スタートして出て行く足というか、そういうのも必要でそこも含めてもう少しです」

◆アピールしたい

 −2年連続、3回目の地元周年参戦です。

 「やっぱり呼んでいただけるだけでもありがたい。ただ、そこで結果を残さないといけないと思うし、地元の代表としてしっかりアピールしていかないと。出るレースは全部そうですけど」

 −最後に今後の抱負を教えてください。

 「今は(成績が)こんなんだし大きいことは言えない。けど、出るレースは優勝を目指してやっていて、そういうレースをしなくてはファンに対しても失礼だし、自分も納得できない。目の前のレースをひとつひとつやっていくだけ。一走一走を頑張って、それが大きいレースにもつながっていくと思っています」

<秋元 哲(あきもと・さとる)> 1988(昭和63)年11月1日生まれの28歳。157センチ、51キロ。血液型はA。那須塩原市出身。矢板中央高校卒業。選手養成103期生、埼玉支部所属。同期には深谷知博、黒井達矢、小野生奈、渡辺和将らがいる。08年11月・戸田でデビュー(3着)。11年10月・浜名湖で初優勝。GIは12年1月・芦屋新鋭王座決定戦で初出場。SG出場歴はなし。通算優勝は10回。家族は父、母、姉。

 

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