2017年1月18日(水)〜20日(金)、東京ビッグサイトにてロボット開発・活用展「ロボデックス」が開催されました。

記念すべき第1回目となる展示会には、初回にも関わらず160社が出展。ロボット導入を検討している企業やロボット技術者たちが集い、ビッグサイト全体が静かな熱気に包まれていました。

最新型ロボットが続々と。最先端テクノロジーのオンパレード

正直、ロボットについては全く詳しくない筆者……。ビッグサイトに押し寄せるビジネスマンたちに囲まれながら、一抹の不安を感じつつ会場内に入ります。

最初に目に飛び込んできたのは、SF風衣装に身を包んだダンサーたちのキレキレの踊り。なんだかよくわからないけど未来っぽい……!と不安も吹っ飛び、テンションが急速にあがってきました。

会場は出展企業によってブースが細かく分かれており、それぞれに発売中のものから試作段階のロボットまで、産業用ロボット、コミュニケーションロボットなどが並んでいます。まさに最先端テクノロジーのオンパレードといった光景です。

ロボット型ユーザーインターフェイス「PaPeRo i」

キョトンとしたフェイスが可愛いらしい、こちらのロボットは、オープンなゲートウェイにロボット型のユーザーインターフェースを追加した「PaPeRo i(パペロ アイ)」。

一見無表情にみえますが、頬や口の部分のLEDが赤く点灯することで愛らしさを表現しているそう。座布団部分は高速ネットワークゲートウエイになっているので、勤怠管理システムや見守り支援システムとの連携も実現。コンパクトなサイズ感なので、これなら家や会社にあっても違和感なく馴染んでくれそうです。

人型外観検査システム「外観けんたくん」

さらに、ぐるっと会場を見渡すと、なにやら人だかりを発見。

前のめりになる人々の視線の先にあったのは……

まるで人間の腕のようにアームをしなやかに動かし、自由自在に操る人型外観検査システム「外観けんたくん」。外観検査とは製品の品質を維持、保証するために外観や不良品をチェックする検査のこと。かわいらしいネーミングですが、素早い動きで下に転がるボトルの外観を検査し、精査していきます。

「ドラ○もん」を完全再現。自動化技術の先駆者「KUKA」

こちらの「KUKA」では、タブレットに書かれた「ドラ○もん」を、ロボットが緻密に完全再現。驚くべきは、平面ではなく湾曲した場所にも関わらず、デッサンを崩さずスラスラと描いている点。

画面にどんなものを書いても、そっくりそのまま再現でき、細かい線までかけるのがすごい……! 絵がヘタな筆者としてはうらやましい限りです。

作業を支援する恊働ロボット「sawyer」

真っ赤なボディが特徴的なこちらはアームをあらゆる方向に操ることで、搬送や梱包などの作業を支援する恊働ロボット「sawyer」。画面の瞳が、自分の手先の動きを常に追っている姿が、産業ロボットながら愛らしい印象を与えます。

これからは人間の代わりに、こうしたロボットたちがこれからの日本の労働を担っていくのかもしれません。

マッスルスーツ「スタンドアローン」を体験

ハンドリングや組立、溶接、梱包などあらゆる作業をテキパキこなす産業ロボットにビジネスマンたちの熱い視線が注がれるなか、気になるブースを発見しました。着用するだけで、普段よりも重いものが持てたり、動きやすくなったり、まるでアメコミの変身スーツのように心踊る代物「マッスルスーツ」です。

着るだけで自分の普段の力以上の腰補助用マッスルスーツ「スタンドアローン」は、装着するだけで腰の負担を大幅に軽減し、しゃがんだり、重い荷物を運ぶなどの作業を補助、装着時間はたったの10秒。

ペットボトルの蓋が開けられず、周囲にドン引きされた苦い思い出をもつほど非力な筆者でも、このスーツを着用すれば、重たい荷物に悩まされることはなくなるはず。

ということで早速、着てみることに。

まずはスタンドアローンをリュックサックの要領で背負い、腰のベルトでしっかり固定します。空気を入れると背中のバッグがどんどん膨らみ、さらにももパッドを両脚にフィットさせます。

装着にもたつく私。企業の方が手伝ってくださいました。


見た目には大きめのリュックサックを背負っているようにしか見えません。


そして目の前に置かれていたのは、なんと20kgのお水が入ったカゴ。500mlのペットボトルをバッグに入れているだけでも重いと感じる私が、20ℓの水なんて持てるはずが……

持てたーーーー!

写真で見ると、ギリギリ床から離れている程度ではあるものの、スーツを着用しない状態ではカゴがびくとも動きませんでした。ヒザへの負担も少なく、脚が自然にすっと伸びるような感覚。これは農作業をされる方や介護の現場などでも活躍しそうですね。

二足歩行型のヒューマノイドロボット「NAO(ナオ)」

20kgを無事に持ち上げ一安心する私の目に入ってきたのは、二足歩行型のヒューマノイドロボット、その名も「NAO(ナオ)」。

人型ロボットとしてはSoftBankのpepperが有名ですが、NAOはpepperのお兄ちゃんなのだとか。 カメラや各種センサーを活用し受付・接客業務などをこなしたり、手足を使って激しめのダンスを披露してくれる、サービス精神旺盛なかわいいヤツでした。

転倒するアクシデントがあっても、さらっと自分で立ち上がるたくましさ。


専用プログラミングでカスタマイズも可能なNAO。既にアメリカの大学では哲学やコンピュータサイエンスの分野で、研究のためにNAOを活用したり、自閉症の子供たちを対象にコミュニケーション動作を学習させるなど、新たな教育ツールとしても世界中から注目されているようです。

これからは、ロボットが私たちを教育していく機会も、増えていくかもしれません。

美人受付嬢は人体型ロボット

そして、今回のロボデックスの会場内にはロボットの説明やデモの進行を行ったり、企業ごとに配布物を渡してくれる美人なお姉さんたちが大勢いたのですが

あそこに座っているお姉さんも綺麗だなーと思いつつ、近づいてみると……。ん?

ロボットだった……!

あまりに違和感のないヴィジュアルに、通り過ぎてしまうほどのクオリティ。一つ一つの表情も顔(特に瞳!)の造りも、とにかくリアルなんです。

この受付対応人体型ロボット、現在は長崎ハウステンボスにある、世界初のロボットホテル「変なホテル」でしか見られないのですが、今後、試験的に成田空港での稼働も予定しているそう。こんな美人受付ロボットがどんどん増えれば、来客側も嬉しいですよね。

普段はなかなか見聞きすることのない、ロボットたちの世界。まだまだ試作段階のものも含めて、ここまで最先端のテクノロジーが一堂に会する機会に立ち会えて、とても感激しました。

どのブースに行っても開発者の方々が日夜、熱い思いで研究や開発に取り組んでいることが感じられ、これからどのように技術が進化していくのか楽しみです。

筆者:Yuri Fujino