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日本のトランプ!?〈アパホテル代表〉年収30億円のドケチ商法
日本やアメリカなどに三百五十四ホテルを展開するアパホテル。旧日本軍による「南京事件」を否定する著書を客室に置いているとして、現在、中国政府の槍玉に挙がっている。“問題の書”の著者はホテル創業者の元谷外志雄アパグループ代表(73)だ。
著書は、ペンネームの藤誠志名義で書かれたエッセイをまとめたものだ。
今年一月、同ホテルに宿泊したアメリカ人女性と中国人男性のカップルが、「南京事件も慰安婦強制連行もなかった」などの記述を見つけ、中国のSNS「微博(ウェイボー)」に動画をアップ。三日間で一億回近く再生されて“炎上”し、中国外務省報道官も「日本国内の一部勢力は歴史を正視しようとしない」と批判。同ホテルの予約サイトはサイバー攻撃でダウンした。
ノンフィクション作家の安田峰俊氏が解説する。
「このカップルに反日感情はないようですが、中国のネット世論が沸騰。日本叩きで知られる人民日報系の環球時報がそれを焚きつけた形です」
一九七一年に前身会社が設立されたアパホテルは芙美子夫人による看板で、一躍有名に。〇八年には、グループ主催の懸賞論文で、田母神俊雄航空幕僚長(当時)が政府見解に反する論文を発表し、更迭されるなど、世間を騒がせてきた。
「石川出身の元谷氏は、地元の森喜朗元首相を通じて政界人脈を広げました。自宅でのワイン会には安倍晋三総理も出席。保守政治家を応援し、稲田朋美防衛相を総理にしたいと話しています」(自民党関係者)
元谷氏は総資産二千二百億円、年収三十三億円といわれる屈指の資産家だが、一方で意図的に客室を狭くして収益率を上げるなど、ドケチ商法でも知られる。
「政治家に献金はまずしません。パーティ券を一枚(二万円)だけ買って、家族総出で出席したこともあります。ある出入り業者は、仕事をもらう代わりに、同社の『アパ社長カレー』の大量購入を義務付けられたそうです」(永田町関係者)
プライベートでも同様で、
「夫婦そろってユニクロ好き。食事に誘われると回転寿司だったことがあります。新幹線でもグリーン車には乗らないそうです」(知人)
渦中の元谷氏に聞いた。
――著書は撤去しない?
「中国は騒ぐだけで、根拠のある反論をしてこない。宿泊客のうち中国人は五%です。むしろ何万という応援メールが来て、稼働率はアップするでしょうね」
――政治家にはカネを出さない?
「パーティ券なんて買わない。講演料や車代も払ったことはない。保守政治家との連帯感が大事なんです」
――「日本のトランプ」と言われるが?
「彼とは違いますよ(笑)。彼は四度破産して、三回結婚してるけど、私は倒産も離婚もないし、政治家になる気もありません(笑)」
トランプよりもサイフのヒモは固そうだ。
「週刊文春」2017年2月2日号
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