阿蘇の校舎再建断念 東海大、講義棟下に断層確認 農場は継続使用
東海大は24日、熊本地震で被災した熊本県南阿蘇村にある農学部の阿蘇キャンパスについて、実習施設の農場や牧場を継続使用する一方で、被害が甚大な校舎の現地再建を断念する方針を明らかにした。約千人の学生は熊本市内のキャンパスで講義を受け、実習施設にバスなどで通う。学生の下宿など生活拠点も同市に移ることになる。
熊本市内で記者会見した山田清志学長によると、有識者などによる地盤調査の結果、全壊した講義棟の真下などに断層があることが判明。安全性に問題があり「全面再建は不可能」と判断した。
阿蘇キャンパスを拠点とする農学部は1980年開校。学生が講義を受ける校舎のほか、農場や牧場、農産加工場などがある。地震発生後は休講し、昨年7月に熊本市内の熊本キャンパスで授業を再開。2017年度までの暫定措置としていたが、大学側はこの日、18年度以降も熊本キャンパスで授業を続ける方針を示した。南阿蘇の実習施設は、安全性が確認できれば17年度中にも前倒しして利用を再開する。
昨年4月の地震では南阿蘇村のアパートが倒壊し、東海大の学生3人が死亡した。地元の南阿蘇村や学生が暮らす下宿の大家などは、校舎の現地再建を含むキャンパスの全面的な再開を求めていた。
=2017/01/25付 西日本新聞朝刊=