公開された11年ぶりに走ることになった「おくひだ1号」=岐阜県飛騨市神岡町で2017年1月25日午後1時54分、中村宰和撮影
岐阜県飛騨市などは25日、11年前に廃線となった旧神岡鉄道のディーゼル車両「おくひだ1号」(1両)を今年4月8日の1日だけ「復帰」させ、同鉄道の線路で走らせるイベントを開くと発表した。また、廃線を観光に生かしている全国の事業者が連携する「日本ロストライン協議会」を設立し、走行日に調印式も実施する。
旧神岡鉄道は1984年に開業し、奥飛騨温泉口(飛騨市神岡町)-猪谷(富山市)間19.9キロを結んでいた。沿線の鉱山閉山などに伴い2006年に廃線となり、設備は飛騨市の所有となった。NPOが翌年から、線路上を自転車で走るレールマウンテンバイク「ガッタンゴー」として活用し、年4万人以上が利用している。
おくひだ1号(長さ18メートル、定員110人)は廃線後も保管されていた。先月、鉄道会社や自動車整備会社の関係者らが協力し、エンジン部品を交換するなどして走行可能な状態にした。車両は、一般公募の計200人を乗せ、市内の奥飛騨温泉口-神岡大橋間0.7キロを計5往復する。整備などの事業費は150万円。
都竹淳也市長は記者会見で「車両が動けば神岡の人に希望と勇気を与え、大きな力になる」と述べた。
全国80地域に協議会への賛同を呼び掛ける。秋田県の大館・小坂鉄道レールバイクや宮崎県の高千穂あまてらす鉄道の参加が決まっている。【中村宰和】