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情報戦の裏側

アパホテル炎上騒動、謝罪すべきでない3つの理由(上)

窪田順生 [ノンフィクションライター]
【第9回】 2017年1月26日
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アパホテルの客室に置いてある元谷外志雄会長の南京事件否定本が、中国で大炎上している。内容からして炎上は当然、と考えるのは早計だ。今回の出来事は中国政府も絡んだ、南京事件を巡る「国際情報戦」に利用された可能性があるのだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

中国共産党のお墨付き!
アパホテル叩きが始まった

 頭を下げるべきか、下げざるべきか、それが問題だ――。

 ご存じ、アパホテルが中国のネットユーザーたちから「右翼ホテル」だと批判されて大炎上している騒動で、アパ会長に対する「謝罪圧力」がさらに強くなっている。

日本の企業広報の常識がまったく通じない国・中国。過去、炎上した外資系企業はことごとく謝罪に追い込まれてきた。しかしそれでも今回、アパホテルが謝罪すべきでない理由とは? Photo:Reuters/AFLO

 中国国家旅遊局が、自国内の旅行業者や宿泊予約サイトに対し、アパホテルの利用中止や広告の撤去を要求したのだ。

 これは中国共産党が「徹底的に叩いてよろしい」とお墨付きを与えたに等しい。

 これを受けて、中国事情に詳しい専門家からも、アパに謝罪を促す声がちょこちょこでている。たとえば、「歌舞伎町案内人」として知られる李小牧氏は1月23日のニューズウィーク日本版に、アパ側が突っぱねても他の日本企業が槍玉に上がる恐れや、東京オリンピックへの悪影響から、「謝罪しなければ終わらない」と予想している。

 おっしゃりたいことは非常によくわかる。

 中国進出企業ならば骨身に沁みていることだが、あちらの愛国主義者が行う企業攻撃は、日本のいわゆる「ネトウヨ」のみなさんが行う不買運動やら抗議デモが生ぬるく感じてしまうほど凄まじい破壊力がある。2012年に中国全土に吹き荒れた「反日デモ」でも、暴徒化した人々が、日系企業が入ったビルに押し寄せて、ガラスを割るは壁を壊すは、あげくの果てにその辺に止まっていた日本車までひっくり返したことも記憶に新しい。

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窪田順生 [ノンフィクションライター]

くぼた・まさき/テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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できれば起きてほしくない「不祥事」だが、起きてしまった後でも正しい広報戦略さえ取れば、傷を最小限に済ませることができる。企業不祥事はもちろん、政治家の選挙戦略、芸能人の不倫ネタまで、あらゆる事象の背後にある「情報戦」を読み解く。

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