【ドキュメント永田町】スクープ!慰安婦像問題で安倍首相、駐韓大使「無期限待機」決断 「こちらから動く必要ない」外務省と温度差のウラ (3/3ページ)

2017.01.25

釜山に新設された慰安婦像で悪化した日韓関係。安倍晋三首相は一時帰国させた長嶺安政駐韓大使の「無期限待機」を決断した
釜山に新設された慰安婦像で悪化した日韓関係。安倍晋三首相は一時帰国させた長嶺安政駐韓大使の「無期限待機」を決断した【拡大】

  • <p>長嶺安政駐韓大使</p>
  • <p>韓国・釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像の後ろで「われわれが勝った。少女像を守ろう」と訴える支援者ら(ロイター)</p>

 もう1つ、安倍首相が見据えているのが、「朴後」の日韓関係のあり方である。大統領候補の大半が「10億円を返して日韓合意を破棄せよ」と主張している。

 安倍首相は「ゼニカネの問題ではない。大統領が交代するたびに国家間の合意が覆されるのであれば、外交交渉そのものを行う意味がない」と周辺に漏らしている。

 合意が簡単に覆るなら、その手前で行われる交渉で韓国側が何を言おうと、もはや信じることはできない。つまり大使の交渉相手が不明確であるばかりか、今後誰が出てこようとも、交渉の前提となる信頼関係が築かれなければ大使は意味ある仕事はできない−と判断したのである。

 「大使が仕事ができる体制」とは、韓国側が交渉責任者を明確にし、国際法に基づいて二国間の交渉や合意結果を順守すると信じるに足る体制を構築することだ。これは独立国家として当然の責務だが、政治混乱が続き、国民世論に翻弄される韓国の現状を見る限り、決して低くはないハードルだ。

 安倍首相は「半年かかるか1年かかるか、こちらが悩むことじゃない。出口は韓国側が考えることだ」と語っているという。

 慰安婦という個別の問題ではなく、「国家の信用の問題」と位置づけた安倍首相に対し、韓国の誰が、どう答えるのか。そのシナリオはまったく見えていない。

 ■山口敬之(やまぐち・のりゆき) ジャーナリスト。1966年、東京都生まれ。90年に慶應大学卒業後、TBSに入社。報道局に配属され、ロンドン支局、社会部、政治部、報道特集プロデューサー、ワシントン支局長などを歴任。米公文書館で発見した機密文書をもとに、2015年3月、週刊文春で発表した、ベトナム戦争当時の韓国軍慰安所の調査報道が高い評価を受ける。16年5月に退社し、フリージャーナリストとして活躍。著書に『総理』『暗闘』(ともに幻冬舎)など。

 
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