COPD患者の半数は吸入デバイスを誤って操作する

e0156318_945442.jpg 先週紹介したMelzerらの報告では3分の2という結果でしたが、この報告では半数以上という結果です。「少なくとも半数の患者は誤操作をきたす」という事実は頭に刻み込んでよいかもしれません。

Mathieu Molimard, et al.
Chronic obstructive pulmonary disease exacerbation and inhaler device handling: real-life assessment of 2935 patients
European Respiratory Journal 2016; DOI: 10.1183/13993003.01794-2016


背景:
 COPD急性増悪は吸入治療によって予防できる。しかし吸入手技不良・誤操作は薬剤到達に影響をおよぼし治療利益を最小化しうる。われわれは、実臨床における吸入デバイス手技とCOPD増悪との関連性を調べた。

方法:
 212人の総合診療医および50人の呼吸器科医が、2935人のCOPD患者の継続治療において3393のデバイス手技を評価した。誤操作は、デバイスの種類にかかわらず手技全体の50%に観察された。薬剤到達を阻害するクリティカルな誤操作は、ブリーズヘラー(876人)の15.4%、ディスカス(452人)の21.2%、ハンディヘラー(598人)の29.3%、pMDI(422人)の43.8%、レスピマット(625人)の46.9%、タービュヘイラー(420人)の32.1%にみられた。
 誤操作のない患者の入院や救急受診頻度は3.3%(95%信頼区間2.0-4.5)だったが、クリティカルな誤操作がある患者では6.9%(95%信頼区間5.2-8.5)だった(オッズ比1.86、95%信頼区間1.14-3.04、p<0.05)。

結論:
 吸入デバイスの誤操作は実臨床では少なく見積もられており、これはCOPD増悪と関連していた。COPDマネジメントの一環として吸入訓練が重要である。



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by otowelt | 2017-01-25 00:51 | 気管支喘息・COPD

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