昨年1年間に警察が認知(把握)した刑法犯は99万6204件(暫定値)で、戦後初めて100万件を下回った。42年ぶりに戦後最少を更新した2015年から9・4%減り、14年連続の減少。警察庁が19日発表した。同庁は「官民を挙げた防犯対策が奏功しているのではないか」と分析している。ただ、詐欺など一部の犯罪は増加傾向にある。

 戦後の刑法犯認知件数は1973年に約119万件まで減ったが、その後増加。80年以降は外国人犯罪や少年犯罪の深刻化を背景に悪化し、02年に285万3739件と戦後最悪を記録した。その後は毎年減り続け、15年に109万8969件と戦後最少を更新していた。

 昨年は、刑法犯の7割以上を占める窃盗が前年より10・4%減少した。侵入盗や自動車盗、ひったくりなどの「重要窃盗」で見ると、統計のある54年以降、初めて10万件を下回った。

 凶悪犯は8・7%の減少。罪種別では殺人が戦後最少だった15年より37件少ない896件だった。放火と強姦(ごうかん)はいずれも終戦直後以来、1千件を下回った。

 警察庁は、犯罪減少の要因として、▽車やオートバイ、自動販売機などの盗難や破壊を防ぐ対策を進めた▽地域住民による見守りなど防犯ボランティア活動が普及した▽街頭への防犯カメラの設置――などの効果を挙げる。

 一方、詐欺は4万999件で前年を4・0%上回った。特殊詐欺事件の勢いは収まらず、還付金を受け取れると偽って金をだまし取る手口などが増加。子どもがインターネットを通じて知り合った男らに連れ回されるといった略取誘拐が228件と増加している。

 逮捕など検挙した事件数を認知件数で割った検挙率は、刑法犯全体で33・8%と前年より1・3ポイント伸びた。殺人や強盗などの「重要犯罪」で見ると4・3ポイント上昇の76・6%、「重要窃盗」は2・0ポイント増の54・6%と、いずれもやや改善したが、高い水準とは言えない。警察庁は「捜査の科学化や取り調べ技能の向上などをさらに進める」としている。(編集委員・吉田伸八