沖縄県の平敷昭人教育長は24日、これまでの見解を覆し、安慶田光男前副知事による教員採用依頼と人事介入を事実と認めた。一方、翁長雄志知事は「私からすると一貫してそんなことはない」と疑惑を否定する前副知事をかばった。同じ日、同じ庁舎内での正反対の会見内容からは県教育委員会と知事部局の連携不足が露呈した。真相究明への本気度が問われている。

(左から)安慶田前副知事、平敷県教育長、翁長知事

 「前副知事による働き掛けがあったと考えざるを得ない」-。県教育委員会の平敷昭人教育長は24日、一転して安慶田光男前副知事による採用依頼や人事介入を事実と認めた。

 事実認定の根拠としたのは、22日に届いた諸見里明前教育長からの告発文書と23日の再調査で複数の元幹部から得た新たな証言。報道陣のカメラの前で諸見里氏の告発文書を掲げ、わずか4日前に「事実はない」と断言していた見解を180度覆した。

 再調査で元幹部5人と面談して確認したところ、採用依頼は前教育長以外に当時の担当幹部が、人事介入は複数が認めたと説明した。

 「事実はない」とした20日の発表について「不十分な調査という批判は受け止める。時間的制約の中で『ない』という判断に至った。結果として違った事実が出てきた」と弁明した。

 正反対の内容だった4日前の会見は「全員が否定する中で報告をいったんさせてもらった。改めて事実が出てくれば対応するということだった」と釈明。「間違っていたという考えはない」と強調し、謝罪には応じなかった。

 22日に届いていた諸見里氏の告発文の内容が、知事が改めて副知事の疑惑関与を否定した23日の会見で全く反映されなかった経緯にも記者の質問が集中。平敷教育長は「趣旨は知事に伝えたが何度も中断があり、細かい中身を伝える時間がなかった」と弁解し、内容を伝え終わったのは「知事の会見後だった」と述べた。

 「知事は2回も事実に基づかない会見をした。教育長に責任はないのか」。記者からの追及に対しては「私にも責任はあるのではと思う」と神妙な表情を浮かべた。

 その後、翁長知事は安慶田氏の介入が事実として確定していない、との認識を会見で示した。平敷教育長は「県教委の結論を重く受け止めていると言っていたが、なぜ知事がそう発言したのかは申し上げにくい」と言葉を濁した。