教祖の名が入ったユニフォームを発表する東京ヴェルディの記者会見。中央はワールドメイト教祖の半田晴久氏(東京ヴェルディFacebookページより)
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■天災への恐怖や他国への憎悪を煽る宗教団体
「火山爆発」「戦争」「テロ」「巨大地震」などに加え「中国・韓国・北朝鮮 闇組織粉砕」などの文字が踊るワールドメイトの奉納申し込み用紙
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かつて、批判的な報道をしたメディアやジャーナリストなどを立って続けに訴えたことでも知られており、「訴訟カルト」のイメージもつきまとう宗教団体です。
宗教法人以外に膨大な数の公益法人や営利法人を関連団体として抱えており、ISPSとミスズもそのひとつ。ミスズが運営する予備校「みすず学苑」は、「怒涛の英語力」などのキャッチコピーで知られており、ここに通い始めた予備校生がワールドメイトに勧誘されて入信してしまったケースもあります。
■教祖の個人名が胸に
サッカーチームとしては画期的な、教祖の名が入ったユニフォーム(東京ヴェルディFacebookページより)
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2017年の東京ヴェルディの新たなユニフォームの胸部分には、スポンサーとなったISPSのロゴが印字されています。東京ヴェルディの発表によると、このロゴはホームゲーム看板2基、パートナーバナーボード、他東京ヴェルディ各露出物に掲出されるとのこと。ミスズのロゴも、東京ヴェルディプラクティスシャツの胸部分のほか、スタジアムの看板、日テレ・ベレーザのプラクティスシャツ袖部分に掲出されます。
| 東京ヴェルディ公式サイトより |
Jリーグ規約には、こう書かれています。
【Jリーグ規約】チームがスポンサー団体名にはない教祖の個人名をわざわざ加えたロゴをユニフォームや看板で掲げるのは、「宗教的デモンストレーション」にあたると捉えることもできそうです。
第3条〔遵守義務〕
(略)
(5) Jリーグ関係者は、その職務に関連し、またはその職務上の地位において、政治的に中立であることに疑義が生じる行為を行ってはならず、いかなる種類の政治的、宗教的または人種的なデモンストレーションも行ってはならない。
(略)
ワールドメイトの被害者団体「ワールドメイト被害救済ネット」の事務局長である紀藤正樹弁護士は本紙の取材に対して、こう語ります。
「このニュース、本当にびっくりです。“半田”氏は、ワールドメイトという宗教法人の教祖として著名な人物であり、創価学会でいうなら“池田”とつけているようなものですので、Jリーグ規約第3条5項が禁じる宗教的デモンストレーションに当たることは明らかです。その上、一般社団法人ISPSは公益法人ですから、その費用で“個人名”を冠するのは、公益法人としてのそもそもの趣旨から疑問があります」
公益法人としての趣旨から問題になるのは、たとえば公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律との兼ね合い。
【公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律】「ISPSは単なる一般社団法人で、公益認定は受けていないのでしょうが、一応、一般社団法人も公益法人ですから、“個人崇拝”を強調すれば、前述の法律の趣旨からして、そもそも公益法人としての属性に疑問が生ずることになります」(紀藤弁護士)
(公益認定の基準)
第五条 行政庁は、前条の認定(以下「公益認定」という。)の申請をした一般社団法人又は一般財団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について公益認定をするものとする。
一 公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。
二 公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。
三 その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。
(略)
Jリーグ寄附金等取扱規程にも、同趣旨の規定があります。
Jリーグ寄附金等取扱規程「今回のケースはこれに抵触する可能性が高いと考えられます。ちなみにJリーグの規程は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律で公益認定を受けていない一般公益法人もその対象にしていますので、一般社団法人も対象です。個人崇拝とならないように、Jリーグ側が考慮しているからと考えられます」(紀藤弁護士)
第8条〔特別寄附金〕
(略)
(3) 寄附金が下記各号に該当する場合またはそのおそれがある場合には、当該寄附金を辞退しなければならない。
① 国、地方公共団体、公益法人及び「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」第5条第17 号に規定する者以外の個人または団体がその寄附により、特別の利益を受ける場合
半田晴久氏は、ワールドメイトの活動においては「深見東州」という名を使っていますが、両者が同一人物であることはワールドメイトの公式サイトにも掲載されています(深見東州プロフィール)。また、東京ヴェルディのスポンサーになったことについて半田氏は、ラジオ番組「深見東州のぜんぶ私の歌、ぜんぶ私の話」で語っています。
プロサッカーチームが「HANDA」という教祖個人の名を掲げることあ、教祖個人やワールドメイトに利益をもたらすと考えるのは当然です。ワールドメイトが問題のある宗教団体であろうがなかろうが、東京ヴェルディのみならずJリーグやISPSまでもが、公益法人関連の法律やJリーグの規約・規程に反している可能性があるというわけです。
「加えてワールドメイトの場合、単なる宗教法人、公益法人というたぐいではなく、以前から問題が指摘され、またいまだに金銭トラブルの相談が続いている団体ですから、Jリーグ寄附金等取扱規程第8条3項の“④ 前3号に掲げる場合のほか、この法人の業務の遂行上支障があると認められるもの及びこの法人が受け入れるには社会通念上不適当と認められる場合”にもあたる可能性もあります。いずれにせよ、Jリーグの規程に違反する可能性があるので、上位団体であるJリーグとしても放置できないのではないかと考えます」(紀藤弁護士)
紀藤弁護士はさらに、問題は規約・規程との兼ね合いだけではないと警告します。
「いずれにせよ、伝統ある東京ヴェルディともあろうものが、びっくりです。(もうひとつのスポンサー企業である)みすず学苑に通ってワールドメイトに入ったというケースも報告されているのに、東京ヴェルディのファンが応援を通じてワールドメイトのことを知り、被害者が出るような事態となったらどうするのでしょう? その時は東京ヴェルディが責任をとってくれるのでしょうか?」(紀藤弁護士)
東京ヴェルディは、前身の「読売日本サッカークラブ」を含めると40年以上の歴史を持つチーム。Jリーグ設立後は、三浦知良、ラモス瑠偉、北澤豪などの人気選手を擁し、J1リーグで2度の年間優勝を果たしました。しかし1998年に読売新聞社などが経営から撤退。2005年にJ2に降格し、2009年には日本テレビも撤退しました。以降、ユニフォームの胸部分にスポンサー名が入らない時期もあるなど、スポンサー獲得には苦労していたようです。
■教祖の名入りユニフォーム販売、予約受付中
| 東京ヴェルディオンラインショップ |
サッカーに詳しくない本紙・藤倉善郎総裁の解説です。
「今年のヴェルディのユニフォームは、カルトな宗教マニアにはヨダレが出るほどの逸品。私も欲しくて仕方がありません。しかし本来のファンや選手たちが気の毒です。ワールドメイトは“中国・韓国・北朝鮮 闇組織粉砕!”などという言葉で憎悪を煽っており、ワールドメイトというよりワールドヘイト。Jリーグ規約との兼ね合いがどうあれ、そんな宗教の教祖の名前をユニフォームや看板に掲げて、“青少年の健全育成”(東京ヴェルディのクラブミッション)もへったくれもあったもんじゃない」
本紙は東京ヴェルディに対して、契約締結の経緯や教祖の個人名である「HANDA」をロゴに加えた理由、Jリーグ規約やクラブミッションとの兼ね合いについての見解を問い合わせました。東京ヴェルディの回答は以下の通り。
「東京ヴェルディ1969フットボールクラブ株式会社は、宗教法人とはパートナー契約を締結しておりません」
Jリーグにも取材を申し入れましたが、回答はありません。
◇参考サイト
ワールドメイト被害救済ネット
1 コメント:
J2の18位に相応しいスポンサー
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