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【NIE】

<神部コーディネーターの出前授業> 東京未来大学編

神部さんが授業の参考資料として作った、死刑廃止に関する新聞スクラップ

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◆死刑制度を考える

 「死刑には反対。冤罪(えんざい)だったら取り返しがつかない」「賛成。遺族には納得がいかない」

 首都圏の小中高校でNIE(教育に新聞を)の出前授業をしている私が昨年十二月、勤務する東京未来大学で、非常勤講師の石田成人先生のお誘いで出前授業を行うことになった。

 テーマは「死刑について考える」。二人の教員が死刑について賛成と反対に分かれて授業を進める、チームティーチング授業だ。

 昨年十月、日弁連(日本弁護士連合会)の「死刑制度廃止宣言」について新聞各紙は賛否さまざまな意見を掲載した。学生にこれらの記事を紹介し、死刑制度廃止についてじっくり考えてもらった。

 死刑賛成の理由としては「遺族感情」や「抑止力の効果」があり、反対理由には「人権尊重は世界の動向」「冤罪の問題」「抑止効果は疑問」などがあった。

 この結果、学生二十九人の判断は、賛成が二十三人、反対が六人となった。

 賛成派は「人権を奪った人の人権を守るのはおかしい」「死刑を廃止すれば、終身刑が増える。受刑者の生活費を税金から賄い続けるのは疑問」。反対派は「世界の多くの国が死刑廃止」「加害者が残りの人生をかけて償うことが重要」としていた。

 各種の世論調査でも七〜八割が死刑賛成という結果なので、今回の結果も世論並みといえる。

 英国では、国民世論の八割が死刑制度支持だったが、ある冤罪事件をきっかけに国が主導して死刑廃止に至ったという。死刑制度を考えることは国の今後の在り方を考えることでもある。だからこそ学生に考えてもらいたいと思った。

 授業後、学生から「自分にはまだ知識が足りない。知識をもったときにもう一度死刑について考えてみたい」という意見が出た。このため、石田先生とこうした授業を今後も続けていきましょう、と確認した。(東京新聞NIEコーディネーター、神部秀一)

 東京新聞・第14回新聞切り抜き作品コンクールへのたくさんのご応募ありがとうございました。審査の結果は2月初旬に本紙特集面で詳しく紹介します。

 

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