🔻コチラの記事の続きになります。
www.keikubi.com
www.keikubi.com
社長との出会い
私がこの「天国に一番近い会社」で
初めて社長を見かけたのは、
1週間の研修から帰った数日後の事でした。
廊下を歩いていると、
突然目の前に、背の高い男性が現れました。

デカイ
社長の身長は190センチ近いでしょうか?
(これは会社案内で見た社長だ!)

私は急いで廊下のカベにペタリと張りついて、
「お疲れ様です!」
と社長に頭を下げ、道を譲りました。

社長は私を見ることも無く、
無言で通り過ぎます。

頭を下げて社長の足元を見つめていると、
社長の足の長さがよくわかる。
スラっと長い足・・・・・。
そういえば、社長の出身は「大阪」だと聞いていました。
(やっぱり都会の人はスタイルが良いのだろうか?)

自分の短い足を見つめながら
そんな事をボーッと考えていると・・・・・。
急に社長の足がピタッと止まりました。
(え?)
ビックリして頭を上げると、
そのまま胸ぐらを掴まれて、カベに押し付けられました。
カベにドンッ

怖いとか
痛いとか
そういう事は全く考えませんでした。
私がその時思っていたことは?
(いやぁー社長は絵になるなぁ・・)
という事だけでした。笑

190センチ近い身長に加えて、
社長は、まるでモデルのような顔立ちをしていたからです。
(なんかドラマのワンシーンみたいだなぁ・・)
とか私はボーッと考えていました。
社長は私をしばらく無言で睨みつけた後、
「てめぇ、誰が金払ってると思ってんだ?」

と言いました。
私は急いで返事だけします。
「は、はい」
何のことだかサッパリわかりませんでした。
そんな様子を察して、社長は
「研修が終わったらオレにアイサツに来るのがスジだろ?」
と言いました。
(あっそういう事か!!!)
私は急いで頭を下げてペコペコと謝罪しました。
社長は
「・・・チッ」
と小さく舌打ちをすると、どこかへ行ってしまいました。

(はぁーなんか俳優さんみたいだなぁ)
と相変わらず社長と男前っぷりに感心していました。

ちょっと暴力的な所はありましたが、
この社長、ジン社長には人を惹き付ける
何か・・・・不思議な魅力がありました。
会社の成り立ち
この会社は出来てまだ1年しょうしょう。
社員が15名程。
アポインターさんが約30名程。

私が入社当時は主に
通信機器の営業販売をしていました。

社長はまだ30代と若く
社員の平均年齢も20代半ばだったと思います。
元々社長のジンさんは関西で
大きな営業販売会社の支店長をしていたそうです。
これはジン社長の元部下だった部長に聞いた話ですが、
ジン社長は会社では有能な営業マンで、
営業成績は常にトップだったとか・・・。
そして、入社から10年余りで、
その会社から部下と同僚を数名連れて独立。

遠く離れたこの地で、
1年ほど前に会社を起こした・・と
なんとも・・・華々しい話しですよね。
まぁ・・・しかし
独立はそう上手くはいきませんでした。
つまり会社は
全然儲からなかったのです。
これは後々聞いた話ですが、
私が入社した当時すでに会社は倒産寸前だったとか。
(恐ろしい話です。笑)

会社設立と運営のために用意したお金は
1億円に少し手が届かない位の額だったとか。
しかし、私が入社した時には
すでにこの1億円の大半が消えてなくなっていたそうなのです。
1年でそんなに減るもんなんですねぇ・・・・。

このお金が減るたび・・・・。
社長の心はドンドン病んでいきました。

考えてみて下さい。
大きな夢と野望を持って
起こしたはずの会社が、
日々倒産へと追いやられていくのです。
会社が潰れてしまったらどうなるでしょう?
妻や子供の生活は?
自分を信じてついてきた部下や同僚の生活は?
借金はどうやって返済する?
・・・・・・・・・・・・・・
この会社の暴力的体質は
紛れもなく社長が作り出したモノです。

その原因は会社の経営状況の悪化により、
「社長の心が病んでいた事」だったのです・・・。
包丁のある会議室
これは、話が少し飛んで
私が入社してから数ヶ月後の話しです。
その日、会議室に全社員が集まっていました。
これは月に1度行われる定例会の為です。
(社長が突発的に開く事がほとんどです。)

しかし会議室には
ピリピリとした緊張感が漂っていました。
なぜか?
支店長が、
時間になっても会議室に現れないのです。
(※支店と言っても隣の県にある3人だけの支店です。)
社長の呼び出しに遅刻する。
という事は
「殺して下さい。」
と言っているのと同じ事です。

予定の時間から15分ほど過ぎた頃、
会議室に1人の男性が飛び込んできました。
「申し訳ありませんでした!!!!」
男性は飛び込んできたと同時に土下座をします。

今考えるとこの対応は「正しい」
もしヘタに言い訳なんかしていたら・・・。
社長の怒りはもっと凄まじいことになっていたでしょう。
社長はイスから立ち上がると
つかつかと、無言で男性に歩み寄り

男性の腹部に蹴りを入れました。

ドスッ
「うっ・・・・・・・」
と男性の口から痛みに苦しむ声が漏れます。
男性の名前はトラさん
この会社の創業メンバーの1人です。
「お前・・・俺のことナメてんの?」
社長が静かに言います。
トラさんは
「ちがっ・・・」
違います。
と言おうとしていたのだと思います。
しかし、次の言葉を言う前に
社長がトラさんを踏みつけます。

1回、2回、3回、4回・・・・。
社長は蹴りながらトラさんに罵声を浴びせ、
トラさんはひたすら謝っています。
途中から私はギュッと目をつぶって
その光景から意識をそらしてしまいました。
会議室にいる誰も・・・
何も言葉を発しませんでした。

トラさんを散々蹴って踏みつけた後、
社長は会議室にある小さな戸棚?から
包丁を取り出しました。

(何で会議室に包丁が・・・)
みんなも包丁を見て、動揺しています。
「おい・・・・・お前これで腹切れ・・・・。」
そう言うと社長がトラさんに向かって
包丁をポイッと投げつけました。

社長の妙に感心のなさそうな
冷たい声が今でも耳に残っています。
トラさんは口かどこかから血を流しながら
「許してください、許してください。」
とひたすら土下座をしたまま謝り続けていました・・。
この会社では社長の存在は絶対。

社長が無茶な指示や行動をするたびに
影では「神のご意思だぞ」
と皮肉を言われていました。

私が在籍したこの「天国に一番近い会社には」
こんな暴力やパワハラが日常的に行われていました。

しかし、この包丁事件をキッカケに
それが急速に収まっていくことになります・・。
ただそれは・・・・。
私が入社してから随分たってからの話しになりますが・・。
つづく