トランプ大統領が100日行動計画において、雇用のためNAFTA再交渉の次の段階として推進するとしていたのがTPP脱退だった。しかし、大統領はこれを加速させ、NAFTA再交渉とTPP脱退をほぼ同時に推進しているのだ。
このまま行けば、TPP脱退の次の段階だと言っていた中国に対する「為替操作国指定」や、中国製品への高い関税賦課も、予想より早まるかもしれない。これらは米中の「経済全面戦争」に飛び火する可能性があるため、米国も慎重になっているとの見方も多い。しかし、米中が為替レートや関税などをめぐって衝突すれば、韓国がその余波を避けるのは難しい。現在、韓国も中国・日本・ドイツ・台湾などと共に米国の為替レート観察対象国に入っている。
トランプ大統領は「米国の雇用を脅かす外国とのあらゆる不公正貿易を調査し、これを撤回させる」と公言した。就任の直前・直後には韓米自由貿易協定(FTA)に対する直接の言及はなかったが、大統領選挙戦時は「韓米FTAにより米国での仕事が10万件吹っ飛んだ」と言ったことがある。このため、NAFTAの再交渉やTPP脱退、米中貿易の確執などで方向性が決まれば、韓米FTAもトランプ大統領の100日行動計画から逃れられないとの見方もある。
100日行動計画によると、トランプ大統領は保守性向の最高裁判事を任命し、不法移民を逮捕しない民主党性向の都市に対する連邦政府の支援をやめるという。その上で、犯罪歴のある不法移民200万人の追放に乗り出す可能性がある。米国国内の韓国人不法滞在者は15万-20万人と推定されており、国別では8位前後だ。米国の不法滞在者取り締まりが本格化すれば、被害に遭う在米韓国人も出てくるだろう。
だが、その一方でプラスの面もある。景気浮揚を目指す考えを強く打ち出しているトランプ大統領の公約通り、米国の景気が良くなれば、輸出国である韓国にとって有利な環境となる可能性もある。