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「2020年、何やってたら楽しそう!?」落合陽一氏と語る未来のクリエイティブ【連載:Tehuのトップクリエイター七番勝負】

タグ : CPF, Tehu, オリンピック, 落合陽一 公開

 
「スーパーIT高校生」として注目されてきたTehu氏が今後の進路として選んだ、慶應義塾大学SFC環境情報学部への進学と、デジタルクリエイターへの道。この連載では、毎回Tehu氏自らが会いたいとリクエストする先輩トップクリエイターと対談。クリエイティブの本質に迫る。

「Tehuのトップクリエイター七番勝負」インタビュアー

Tehu氏

中学生の時に独学で開発したアプリ『健康計算機』が180万DLを突破したのを機に、TVなどで取り上げられ注目を浴びる。その後もスーパーIT高校生として多くのプロジェクトで開発やディレクションを担当する一方で、メディア出演や企画、執筆など幅広く活動。2013年10月に「プログラマー引退宣言」を行ったことでも話題を呼んだ。2014年4月より東京に拠点を移し、さらなる飛躍を目指す

今回のゲスト

落合陽一氏

1987年生まれ。研究者、メディアアーティスト。IPA認定スーパークリエータ。Microsoft Research Redmondを経て、現在東大大学院で博論審査中。近年の作品としてアニメーション作品『アリスの時間(Looking-glass time)』が本年度SIGGRAPH Art Galleryのカバー作品に選ばれた。また音響浮遊を利用したグラフィック形成技術『ピクシーダスト』が経済産業省 Innovative Technologies 2014に採択されるなど注目を集める

YOUTUBEで300万回再生以上されている話題の動画「Three-Dimensional Mid-Air Acoustic Manipulation [Acoustic Levitation] (2013,2014-)」を知っているだろうか?

超音波による三次元音響浮揚の様子を収めたこの研究チームの代表者が、今回の対談相手、落合陽一氏だ。

現在、東京大学大学院学際情報学府で研究を続ける傍ら、メディアアーティストとしても活動。その研究や作品の先進性から「現代の魔法使い」と呼ばれている。

Tehu氏の熱い希望により実現した今回の対談。初対面という落合氏との会話は若い2人らしく未来予想から始まった――。

発明ができるエンジニアはかっこいい

Tehu 今日はよろしくお願いします! いろいろ聞きたいことがあるのですが、何から話をしましょうか。

自身のクリエイティブやテクノロジーに対する考えをTehu氏に熱く語る落合氏

落合 よろしくお願いします。そうですね、2020年に僕らが何をしているか?  みたいな未来の話をしませんか?

Tehu いいですね。2020年といえば東京オリンピックか。

落合 俺の予想では、開会式では「ドラえもんの登場です!」とかやってると思うなぁ。キャラクター・アニメ系に頼った平面演出。キャラクターとしての初音ミクとかはもういないかもしれないけど、ドラえもんは絶対いると思う。

Tehu いきなりすごい話(笑)。なんで初音ミクは残ってないと思うんですか?

落合 うーん、最近の音楽情報処理系の技術の進歩を考えたら、マライア・キャリーの声をサンプリングしたら、それと同じくらいの周波数帯域で歌ってくれるボーカロイドは普通に出てくるんじゃないかと思う。そうなったら、声に特徴的なキャラクターとしての初音ミクがいる必要あるのかなぁって。

Tehu じゃあ、オリンピックに出てくれなそうな人の声を勝手にサンプリングして登場させるってのはどうですか。

落合 (Tehu氏の発言をスルーして)うーん、ドラえもんが出てきて、B’zがギター弾いていたら最高ですね。長渕剛が出てきたらもっとヤバイな。もう最高で最低。海外の中継がカオスになりそう。

日本人には最高のファンサービスかもしれないけど、世界中の人は「誰この人?」連発の状態。仕方ないから、いちいちテロップとアナウンスで説明して、「この人はこういう人で」みたいな。この温度差、あり得ると思うんですよ。

Tehu こんな話でいいんですか(笑)。 落合さんは何でそんな開会式になるだろうと思うのでしょう?

落合 今って、クリエイティブに関わる人が「何か面白いことをやろうよ」って言ったら、「こんな事例があったよ」ってうれしそうに企画として持ってくることが多いですよね。クリエイティブの縮小再生産的な話なんですけど、そればっか続けてると、今言ったような開会式になるのかなって思っちゃう。

みんなが文句言わないところを選んで、ハンコ押して進んで行って、たどり着くのがスーパーガラパゴス。

それよりも、もっと未来を見据えてやっている人を連れてきて、何か発明しましょうって考える方が僕は好感が持てるんです。発明って、新しいものじゃないですか。

エンジニアってその発明が唯一可能な職業で、そこが本当にかっこいいんですよ。既存のモノの組み合わせじゃなくて、ゼロからまったく新しいモノを生み出すような力を持っているから。存在しないモノや発想を、「ちょっと計算して試してみよう」って言える力って今すごく重要だと思いますね。

Tehu なるほど。

落合 最近僕の中で「発見的なエンタメ」がキーワードになっていて、イコール発明だと思っているんです。

例えば、カゴメ株式会社と熊本大学のバルスパワー科学研究所が共同で、衝撃波で皮を破ることなくトマトの中身をジュースにするというプロモーションをしたんです(『高性能爆薬で作る野菜ジュース』)。これって「発明」だと思うんですよ。

元は水中衝撃波を使って食品軟化の研究をしている研究所なんですが、その応用の発明として、野菜や果実の皮をそのままパッケージに使ったジュース。すごく新しいじゃないですか。

動画を見るとトマトにストローを挿してチューチュー吸っていて、度肝を抜かれた。誰も見たことがない体験を作り出すこと、結局それが最もストロングなエンタメ的表現だと思います。

Tehu 落合さんはエンタメ的な表現活動にも興味はあるんですか?

落合 僕自身は商業的なことにはあまり興味ないですね。もちろん何かの問題を解決することには興味がありますが、それでどうお金を稼ぐかは、発明や発見ではなくお金にフォーカスした誰かが考えたらいいことだと思っています。

今研究している技術もどう使われてもいいかなってくらいに思っているぐらいです。お金はもちろん重要です。でも、僕はもっと違うことに頭を使いたいんです。

思想を作り出すのが一番のモチベーション

Tehu そうなってくると、活動をする上での一番のモチベーションって何なんですか?

落合 「思想を作ること」ですね。

僕が一番影響を受けたのは、1991年に「ユビキタスコンピューティング」という言葉を定義したマーク・ワイザーという人。彼の思想はその後の世界の進展と見事に合致していて、世界は今や世の中はコンピュータでいっぱいになりました。でも、「ユビキタス」にも弊害があると思っています。

例えばPCやスマホという実体があることで、実は我々の集中力や人間らしさってけっこう奪われていませんか。人間は人間らしく生きたいだけなのに、あらゆる場所でコンピュータを操作しなくてはならない。

その問題を解決するための技術の総称として、後にワイザーはカームテクノロジー(穏やかな技術)という言葉を定義しているんです。

でも、現在のように具体的にカームテクノロジーの問題が表面化する前に、ワイザーは亡くなってしまった。僕らはそれを引き継いでいかないといけない。

今、我々は明らかにデバイスに覆われて生きている。デジタルネイティブという言葉は、けっして良い意味ではないと僕は思っています、あれは不自然さの表出です。本来はこの世界にネイティブである、ただそれだけでデジタル世界にもネイティブであるべきだと。

コンピュータを捨てて生きるんじゃなくて、もっともっとエンジニアリングを頑張って、人間が人間らしく生きられるようにコンピュータはもっともっと進化するべきだと思うのです。

そこで、「フィジカルなデバイスがなくてもデバイス(PCやスマホなど)を使っているのと同じ恩恵を得られるべき」という思想を広めるのが僕のモチベーションの1つです。

そして、その暫定的な実装という形で示した答えが、今研究している『浮遊』であり『ピクシーダスト』であり、『コンピューテーショナル・ポテンシャル・フィールド(以下:CPF)』という概念です。

Tehu CPFは『TED×Tokyo』のスピーチでも話されていましたね。

落合 お、よく知ってますね。CPFは面白いよ。

Tehu 具体的にCPFってどういうことなんですか?

落合 新しいインターフェースの形です。PCを例に考えてみましょう。

PCのインターフェースはモニターとマウスやキーボードで操作するGUIです。このGUIの一番いけないところは、フィジカルなPCのモニタと画面内のデータに圧倒的な差があること。そこで出てきたのが、実態にデータをオプティカルに重ねるARの1つで、目の前の物体と情報が重なっていればGUIより差がなくなる。これは90年代に研究されていたことです。

または、プロジェクションマッピングが完全に実態に投影されていれば、触るものと見えるものが1対1で対応する。実現させるのは映像の動かし方だけなので、これも90年代から研究されている。その後は世の中の物体をどう変えてやったらいいのかが研究されています。

だけど、これには物理世界特有の制約があって、いろいろうまく行かないんですよね。

Tehu デメリットがデカすぎると。

落合 プログラムマターって、なかなか実装できない概念なんです。SFやドラえもんではよく出てくるんですけど、そもそも物理的に難しい。

そこで、「コンピュータに制御される場があれば、物体よりも場の方が重要だよね」っていうのが僕らの研究アプローチ。CFPの暫定実装、Pixie Dust(ピクシーダスト)で断片的に述べたのは、例えば場が変わることで物体の形が変わるとか、動くとか、見た目が変わるっていう話をしようっていうことです。それが、僕の10年スパンの活動方針です。

Tehu うん……分かったような、分からないような(笑)。

落合 ピクシーダスト以来、ずっと概念そのものを研究しているんです。暫定から理論へ。たくさんプロトタイプも作っているし、そのうち世に出てくるので分かると思います。何で今年のはじめに僕らがモノを浮かせて喜んでいたか分かるはずですよ。

「僕と落合さんの間には深い谷がある」

最先端の研究事例に触れ刺激を受けるTehu氏

Tehu 聞けば聞くほどすごい話ですね。早く体験したいです。そもそも落合さんがテクノロジーに興味を持ったきっかけってなんだったんですか?

落合 小学生のころは「インターネットすげー」、「3DCGすげー」って感じでPCとか触ってました。ただ、僕が大学に入った2007年には、コンピュータインターフェース関連の研究って基本的にだいぶ成熟していたんですよ。

GUI研究はあらかた終わっていたし、プロジェクションマッピングが完成したのだって1998年。ARとかマルチタッチみたいに、iPhoneのアプリで今「先進的!」って言われて使われるような技術は、2001年ぐらいに基本的な研究は終わっている。

そこから先、何を研究すればいいのか、みんな分からない状況だった。ただ、1つの方針として、コンピュータが物理化してこの世界に出てくるというのが本質としてあり得るだろうという話はありました。

当時は、「3Dプリンタで世の中がどう変わるのか」という予測として、それでできた物体が動的になると考えていた。それでその物性を変える技術がホットになる時代が10年後ぐらいに来るから、そこを踏んでいくのがいいかなと思って大学2~3年のころから研究や制作を始めました。

Tehu 素朴な疑問として、そういう最先端な活動ばかりやっていて食っていけるんですか? 日本では、企業がうまい研究をやっているっていうイメージもないし。

落合 もっと研究と開発の距離が縮まればとは思いますよね。

Tehu 落合さんがそういう関係性を変えていこうっていう気はないんですか?

落合 僕はそこにあまり寄与できないのが弱点で。僕の研究によって、2100年の日本にメリットがあるかどうか担保できないんです。それは研究者の悲しいところ。

Tehu 担保できないというのは?

落合 だって、エジソンの発明がアメリカ人のためになっているかどうかって、分からないじゃないですか。電球って、世界中で使われているし。まぁ僕が関われるのは、強いていえば教育くらいかな。

Tehu なるほど。活動を続ける1つの方法として産学連携があると思いますが、興味ありますか?

落合 あまりないなあ。けっこう縛られるんですよ、受託開発みたいになっちゃって。

僕は、彼らの問題を解決するための何かすることにはあんまり興味がなくて、むしろ彼らのテクノロジーを使ってブレークスルーが起きそうなところに自分から乗り込んで行って一緒にやるのは好きです。

そうだなぁ、パテントプール契約で、うちの研究所の特許の使用許可を与える代わりに、1000万円ずつぐらい企業スポンサーからお金を募るのはいいと思います。MIT Media Labではその状態になっていて、日本の大学と企業ではあんまり聞かないんですよね。

企業研究所の例としては、Microsoft Research と Microsoftの関係は、けっこううまくやっていると思いますよ。

Tehu みんなにウケる製品を出すのと、その上でまったく新しいモノを発明するという、その両方のシステムを持っているわけですよね、Microsoftは。

落合 そうですね。しかも新しい技術を発明したら、次の月にプロトタイプからより洗練化された製品みたくなっていることなんてザラなんです。だから、研究者からしたら気付いたら製品ができてる感覚ですよね。

「ちょいちょい、来て来て。できたよ」、「お、これ俺が言ってたアレじゃん!」みたいな(笑)。

Tehu そういう関係性は確かにいいですね。

落合 その方が自然ですよね。中途半端な制約条件の中で、本当に新しいモノを作るとなったら無理です。野放しの中で上澄みを定期的に掬うのが本当はいい。

Tehu 年収500万円台の研究者がいるっていうのは、厳しい現状ですよね。僕は、ある程度普遍化したテクノロジーを商業的な目的、特にショーとして使うことを目的としている。だから、今の話の流れでいくと、僕と先進的な研究をされている落合さんの間には、現状「谷」があるのかな、とも思いました。

落合氏は海外でも頻繁に活動しており、日本との研究、開発環境の違いを日頃から感じている

落合 そう、谷があるんだよね。原因は、今挙げた特許系をどうマネジメントするか、みたいな話なんじゃないですか。知財関係の取り扱いが日本は上手くない。アイデアを作る段階とブラッシュアップする段階の関わりとか。

そういえば、詳しくは知らないんですけど、法律を変えて、企業の社員が作ったものは完全に企業のものになるみたいですね。経団連の要請か何かで改正するみたいです。ますます新しいモノ、日本独自の技術が生まれにくくなっている。

Tehu 谷は深まるばかりですね……。

落合 あと、根本的なところで言うと、アメリカにはPhDを持っているプログラマーがたくさんいるのもデカい。

PhDを取ったプログラマーって、日本では学者になる人が多いんだけれど、海外だとベンチャーにいく人が多いんですよね。世界中でその人しか持っていない技術っていうのを保有しているから博士になったわけで、それってまさに“金のなる木”でもあるんですよね。

アメリカ以外だと、フランスに代表されるEU諸国のあり方を見ていると、「文化を売る」ってこういうことなんだなって思いますね。

Tehu 「文化を売る」ってどういうことですか?

落合 あの地域の世界的な企業を並べていくと、ほとんどルイ・ヴィトングループの傘下なんです。みんなが憧れるブランド。「なんだか分からないけど、欲しい、かっこいい感じがする」。そんなブランド力さえあれば、例えば『Apple Watch』をデザインしてもいいし、どういう生き方をしても生きていける。

一方の日本にはからくりを中心にしたブランドイメージしかなくて、からくりを保持した状態でデザインって難しいんですよね。

自由度を上げるのが、21世紀の企画術

Tehu 「からくりしかない」って、具体的にどういうことですか。

初対面とは思えないほど2人の会話は最後まで弾んだ

落合 要は、速く走る車とか、すごく丁寧に作られて壊れにくいモノとかに日本っぽい良さがあるっていうのは、たいていがクラフトマンシップに基づいたからくり的な良さじゃないですか。

僕は、デザイン面では平面性とミニマリズムという文化が上手く融合したのが日本製品のあり方だと思っているけど、そのコンセプト自体は海外に完全に流出してしまっている。

結果、Appleに代表されるようなミニマリズムは海外でも盛んですよね。日本メーカーの製品を見ていると、表面はミニマリズムだけれど、裏はゴツゴツしてショックだったり(笑)。それが弱点だと思います。

Tehu 弱点かぁ……。

落合 ただ、今は弱点だけれど、2020年までにはそこを強みに変えたいよね。

例えば『ドラゴンボール』のフリーザが付けている、あのごついスカウターを作るのは日本人超得意なんじゃね!? って思う。なのに、実際フリーザのスカウターを付けるようになってなくって、Googleみたいな会社が作る「もっともっとミニマリズム」みたいなモノになっちゃったんだよね、世の中が。

そげ落とすことに関しては、海外の企業は得意なんだと思いますけどね。

海外の日本好きオタクが持つ日本のイメージって、だいたいが『攻殻機動隊』の世界じゃないですか。基板むき出しからミニマリズムのかっこいいロボまで、香港みたいなごちゃごちゃと、日本庭園みたいなミニマリズムの同居。本来同居できないものが文化的に同居する。

でも、今のところ、あのころ描いた「未来」の感じじゃないんですよね、日本って。フリーザのスカウターにもGoogleグラスにも振りきれないっていうのは、やっぱ弱点の1つだと思うんです。

というところで、Tehu君は今後何を作りたい?

Tehu まったく新しいものを作れるものなら僕も作りたいです。でも、インターンで広告代理店に行ってみて思ったのが、ぶっ飛んだ企画を出しても採用されないんですよ。理解はしてくれるけど、企画として通らない。

逆にベタすぎてもダメ。その間くらいというか、一個何か新しいのが乗ってるぐらいの企画が通る。全部新しいのはダメ。

落合 僕も友人からそういう話は聞きます。「クリエイティブって何だっけ?」って思っちゃいますけどね。

見た人全員が「確かにこれは見たことがないぞ」、「すごい」って言えば、それは何らかの価値があるはずなのに。そこに懸けられない。

偉い人が「すごい」っていうからすごいんじゃなくて、みんな言葉にできないけど「すごい!」と思うものはやっぱりすごいんです。でも、日本的クリエイティブは最大公約数の、「誰もダメだと言わない」企画が通るんだな。

だから、オリンピックの開会式も、しょうもない感じになるだろうなって。

Tehu あ、ここでようやく話がつながりましたね(笑)。

思えば、「何だこれ?」っていう技術で記憶にあるのは、人生で初めて3Dプリンタを見た時です。NHKの深夜番組で、当時パイナップルを石膏で作ってたんですよ。綺麗に作ってるけど、「え?食えないじゃん!」って思って。でも、それが今は医療とかに使われている。

落合 3Dプリンタもそもそも、けっこう面白い考え方で、自由度を上げると強度は下がって、コストは上がるんです。その場で新しい構造を原料を溶かして作るっていう自由度が一個上がっただけで、強度やコストの制約がすごく上がるんだけれど、それでも欲しいっていう人はいるんだよね。

それってすごく重要なことで、企画屋としては、「そんなコストが高くて脆いものを誰が使うんだ」って却下してしまう。

Tehu なるほど。

落合 でも、全員が全員違うものが得られることが、コストを超える瞬間がある。自由度を上げていったところに、欲しい人がいっぱいいるんだよっていうのが21世紀風の企画術だと思いますよ。

普通は「×」が複数付いた時点で、企画としてはボツになるんだけれど、1点だけでも突き抜ける何かがあるといいことがあるかもしれないですよね。

何に使えるか分からないけど、浮かせてみただけですごく変な感じがするのもそういうこと。そこに映し出す映像も解像度はiPhoneよりも低いけど、iPhoneよりヤバそうって思うんだったらいいんじゃないですか。

「ヤバい」っていうのは言語化できないけど、その裏に心を動かす何かがあるっていうことなんですよ。

Tehu 確かに!

落合 面白い、とか面白くないとかじゃなくて、「やってみたらヤバいものができちゃったんだよね、言語化できないんだけど心が動く」っていうことの方がすごい。仕事でやっているから、そういうことがやりづらいのは分かるけど、例えば広告の人が企画を考えるアプローチが変わってもいいんじゃないかな。

海外ではよくある話だけど、全然違う専門家とか集まって、もっと共同作業的な話とかも増えてきてほしい。21世紀、ツールはたくさんあるし、心の動かし方は自由なわけですから。

Tehu 僕自身がそういった活動に関われるようになりたいし、2020年までには何か新しいモノを作れるようにがんばらないとなぁ。今日は刺激的な話がいっぱいでした。ありがとうございました!

落合 こちらこそ。また会いましょう!

取材・文/長瀬光弘(東京ピストル) 撮影/竹井俊晴




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