Bowling For Soupに想いを馳せて
皆様の学生時代はどうだったであろうか?
特に高校、洋楽ではハイスクールと言われる時代だ。
僕には、良くも悪くも無かったし、言いようのない閉塞感みたいなモノは常にあった。
あの頃に戻れるけどどーする?と言われたらどっちでもいいけど出来んなら他の時代にしてくれと言うと思う。
やり直す術すらわかんない時代。
そのくらい印象のない時間を過ごしてきた。
だけど、このPVを見ると何故がスカッとする。
Bowling For Soup - High School Never Ends
何かに虐げられていた訳ではないけど、バカバカしいくらいの仕返しは、何故か痛快に感じる。
そしてバカバカしいくらいキャッチーでファンなポップパンクが、ちょうど良く賑やかでさらに最高だ。
彼らを高校時代に聞いていれば、何か違った色で世界を見れたかもしれない。
少し大げさにそう思う程、今聞いていると輝きを増すのがこのBowling For Soupだ。
そんなBowling For Soupと学生時代に想いを馳せるレビュー。
是非お付き合いください。
ポップパンクとスクールアンセム
ポップパンクの勃興とともに、日常を感情的な演奏とともに叫ぶというスタイルがユースカルチャーに反響を呼んで、その内容は恋愛や家族や友達や学校の事にまで及んだ。
世界情勢よりも僕らの周りの世界にまず言いたい事がある。
好きな女の子の事だったり、パーティーばっかしてるモテてる奴らの事だったり、そいつらに何か言われた事だったり。
圧倒よりも共感が最大の武器であったポップパンクにおいて、スクールアンセムは至極身近なメッセージだったのだ。
Bowling For Soupってバンドを今30手前で聞いてみて、恐ろしくキャッチーに心に響く。
ヴィジュアルも普通にモテなさそうな4人組からポップなメロディーに力点を置いたメロディックなサウンドが発せられるのが既にテンションが上がるユースポップパンクの様式美を醸し出しているし、おちゃらけている様に移ってもアイコニックに振る舞うバンドパフォーマンスと気取らない丁寧で真っ直ぐなサウンドメイキングでチャラく、嫌らしくは映らない。
キラキラして潔いくらいのポップネス、あざといくらいのちょっとユーモア感じる甘いコーラスのハーモニーで、甘酸っぱいエッセンスはどこを切っても滲み出る。
ことの外、丁寧にメリハリ深く響かせるシンプルなギターサウンドのエッジ感も相まって、メロディアスなフレーズが度々ポップとロックの黄金律に触れ、それらをバランス良く交差させ、ユースらしい軽やかな躍動感と爽快感が沸き立つ。
グラミー賞のベストボーカルパフォーマンスにノミネートされた事もあるボーカル・ジャレットの、聴きやすさと格好良さを備えたボーカルは、甘くキレのあるグッドメロディーの先頭を行くに相応しいアイコニックさが特徴的。
丁度いいバカバカしさを地で行く様なあっけらかんとした朗らかな声は、聴きやすくも急にズバッと心を揺らされるフックを持っている。
憂いだ気持ちを覆い尽くす様な輝きに満ちたメロディーはいつだってノリノリで、退屈な日常にロマンティックな色を加える魔法、というのも大げさではないかもしれない。
20年近く経った今でも、変わらぬサウンドで、ギターの身体は大きくなり続けている。ボーカルも追いつきそうだ。
彼ら自体ジャンルとしてアイコン化されたのは、定番曲としてしっかり根付いた曲の力と、ブームやトレンドを超えた普遍のテーマを真正面から扱って、時代を越えてでも僕の様なダメだった奴が思い出して聴いているのもあるんだろう。
むしろ同世代にも聴いてほしい。
Bowling For Soupと僕らの音楽
キャッチーでコマーシャルだとしても、奇をてらわない真っ直ぐさを響かせる先にいるのは、紛れもない大多数の僕たちなのだ。
部活のエースでもクラスの人気者でも不良でもナードでもない、それでも普通は嫌なんだ、誰の心にも宿る大多数のマイノリティー。
何をしてるのかもわからないし、どんな言葉でも足りない。
閉塞感ってわけでも、絶望したわけでもない。
それは幸せなのかもしれないけど、当時はそんな事を感じられなかった。
日本のポップスはみんな聞いてる、そこで同じものは聞きたくないよな?
と、小さい自分に言われてる様なざらついた感じ。
そんな大多数のマイノリティーをキャッチーなバンドサウンドのメッセージが打ち抜く。
聴いた瞬間の衝撃ったらないよ、文春砲より凄い。
疑ってかかる後ろ向きな僕らにも、目線が一緒でハートに火がつく様な音楽がある。
それだけで心強いんだと思うのだ。
ソングレビュー
少しだけ彼らの曲をレビューします。
是非、歌詞も聴いてほしいので、少しだけそこにも触れますので是非聴きながらご覧ください。
とびきり明るくてユーモラスでちょっと切ない彼らの曲達。
Highschool Never Ends
Bowling For Soup - High School Never Ends
まずは冒頭も書いたけどこの曲から。
ユースアンセムらしいリズムの良いメロディアスでカラフルなアップビート。
湿り気ゼロのカラッとしたサウンドにキュート&エッジな声が響く。
ハイスクールさえ終わればクソつまんない毎日からも脱出できると思っていたけど、卒業しても鬱陶しい事ばっかなんだ。
煌めくポップネスに乗せて、ネガティブ&ユーモラスに毒づいて、笑い飛ばしてやる。そのセンスがかっこいい。
これが僕らの歌のプロトタイプだ。
1985
SR-71というバンドのカバーソングなのだが、 Bowling For Soupの中でも一番のヒットソングとなった。
楽曲のストーリーも彼ららしく、それに惚れこんだメンバーがSR-71に頼み込んでカバーさせてもらったらしい。
夕焼けみたいに切なくも美しく暖かく響くメロディックでキャッチーなポップサウンドにジーンとくるような感覚が嬉しい。
歌詞の意味を知ればもう涙が止まらないんだ。
1980年代を引きずるある奥さんが主人公で、結婚してつまらない人生になってしまった、私の1985年を取り戻してと、ニルヴァーナじゃなくてマドンナじゃなくて、あの頃のU2をモトリーを返してと叫ぶのだ。
今になって感情移入が止まらない。
それを極めてフラットに哀愁に満ちた声で淡々と歌うジャレットの声に、感嘆せざるを得ない名曲。
The Bitch Song
Bowling For Soup - The Bitch Song
Bowling For Soup初のヒットソングでデビューのきっかけになった曲。
ポップパンクらしいシンプルでキャッチーなノリのイイサウンド。
反面クールでダヴなサビもいい感触を残す。
このころからコーラスパートは変わらない。
僕への態度がキツくても、そばにいてほしい。そんな切ない男心を歌うのだ。
Allmost
美しいパワーバラッドソング。
変わらない Bowling For Soupのビートで、ドライヴィンなギターリフに乗せたキラキラしたメロディー。
そのメロディーに合った美しいラブソング。
もう少しで色んな事が起こりそうで起こらなかった。
それは全部君に恋した事がきっかけだった。
憧れに届かない想いを馳せる、心に響く歌だ。
Girl All The Bad Guys Want
Bowling For Soup - Girl All The Bad Guys Want
もうタイトルのテーマが最高なアンセム。
フックの効いたグライムなギターが全面に出てパワーを感じるメロディックロックサウンド。
ねたみと恨みと欲望の高鳴りに合わせて音もパワーを増していく構成に引き入れられる。
ラップメタルを聴いて筋骨隆々の悪そうな奴らを向いてる女の子、結局そうなんだよなって歌。ポップパンクのいい感じのカッコよくなさを卑下しながら等身大な姿を見せる。
最高のテーマだ。
音楽と共に振り返る僕らの時代
皆様はどうやって高校時代を振り返りますか?
こうやってぼくの場合は高校時代を振り返る。
思い出の中のサウンドトラックは自由なのだ。
いつか僕らが気づいていた真理を思い出させてくれるスクールアンセム。
キッズアーオールライトは意外と大それた錯覚でもない。その気持ちを忘れてはいけないんだ。
彼らを聴いているだけでも、意外と悪くなかった時代だったなと思えてしまう。
それではまた別の記事で。
【アルバムリスト】