行き違いを克服した原動力
平成9年4月に呉さんは新宿の高層ビル街にマンションを購入した。呉さんが日本に渡って16年、物書きを職業とするようになって、すでに12冊もの本を出していた。マンション購入は日本への定住の意思表明だった。
呉さんが今までを思い返してみると、日本という異文化社会に飛び込んで、様々な迷路に迷い込み、何度も行き違いに悩んできた。そんな呉さんを救ってくれたのは、「よき人」との出会いだった。行く先々で本当にいい人たちと出会え、その人たちが様々な形で呉さんを助けてくれた。
そしてそういう「よき人」たちとの出会いを作りだしたのは、呉さん自身の「よき人」を求める気持ちの強さ、真剣さではなかったか。日韓の行き違いから逃げずに、「よき人」を求めて悩みながらも行き違いを直視し、その原因を考えてきた。その真剣さが、行き違いを克服する原動力だったのだろう。
現代のグローバル社会では、あらゆる国々や民族との文化摩擦を乗り越えていかねばならない。その「しんどさ」に耐えていくためには、それだけ「よき人」を求める真剣さを持たねばならないのだろう。
文責:伊勢雅臣
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『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』
著者/伊勢雅臣
購読者数4万3,000人、創刊18年のメールマガジン『Japan On the Globe 国際派日本人養成講座』発行者。国際社会で日本を背負って活躍できる人材の育成を目指す。