首相 米にTPP理解求める ほかの経済連携協定も

首相 米にTPP理解求める ほかの経済連携協定も
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国会は参議院本会議で代表質問が始まり、安倍総理大臣は、アメリカのトランプ大統領がTPP協定から離脱するための大統領令に署名したことについて、トランプ大統領は自由で公正な貿易の重要性は認識しているとして、TPP協定の意義に引き続き理解を求めていくとともに、ほかの経済連携協定の締結も目指す考えを示しました。
この中で民進党の蓮舫代表は、アメリカのトランプ大統領がTPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱するための大統領令に署名したことについて、「安倍総理大臣は、わが国のGDP=国内総生産をおよそ14兆円押し上げるなどと述べていたが、発効の見通しが立たなくなったTPPに代わり、どの政策で補うのか」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「トランプ大統領は、自由で公正な貿易の重要性は認識していると考えており、TPP協定が持つ戦略的、経済的意義についても腰を据えて理解を求めていきたい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、「TPP協定に結実した新たなルールは、今後の通商交渉におけるモデルとなり、21世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待される」と述べ、日本とEU=ヨーロッパ連合のEPA=経済連携協定や、RCEP=東アジア地域包括的経済連携など、質の高い協定の締結も目指す考えを示しました。

一方、安倍総理大臣は、トランプ大統領が選挙期間中、在日アメリカ軍の駐留経費の増額を求める考えを示していたことについて、「アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟はアジア太平洋の平和と繁栄の礎として、不可欠な役割を果たしている。日米安保体制は日米いずれかのみが利益を享受するような枠組みではなく、駐留経費も日米間で適切な分担が図られるべきと考える」と述べました。

さらに、安倍総理大臣は、トランプ新政権が過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅を最優先に掲げていることに関連して、「軍事作戦に参加する考えは全くなく、後方支援を行うことも全く考えていない。非軍事分野において国際社会におけるわが国の責任をきぜんとして果たしていく。以上のようなわが国の立場をトランプ新政権に対しても十分に説明していく」と述べました。

自民党の吉田参議院幹事長は、海洋進出を強める中国との関係について、「中国の一方的な行動に対しては、日米やほかの周辺国が連携して抑制していくことも必要だ。一方で日中両国の友好関係を再構築し前向きに協力し合う関係にならなければ、アジアの平和と安定は保たれない。今後の対中関係にどう臨むのか」と質問しました。

これに対し、安倍総理大臣は「東シナ海から南シナ海に至る地域では緊張が高まり、わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。冷静かつきぜんと対応するとともに、地域の平和と安定のため近隣諸国との連携を進めていく。日中関係には隣国ゆえの難しい課題もあるが、戦略的互恵関係の考え方の上に大局的な観点から努力を重ね観光面を含めて関係改善を進めていく」と述べました。