京都市立芸大、研究・制作スペース1・4倍に 移転で3計画案
京都市は23日、京都駅東側にある下京区の崇仁地域へ2023年度の移転を予定する市立芸術大(西京区)の整備基本計画案を明らかにした。施設配置を示すのは初めてで、提示した3案はいずれも現キャンパスより建物を高くして研究・制作スペースの延べ面積を1・4倍に広げる。キャンパス北側に美術ギャラリーや音楽ホールを並べ、新たな芸術の発信や地域交流の拠点化を図る。移転費用は約280億円を見込む。
■キャンパス北側にギャラリーやホール
予定地は市有地を中心とした3万8千平方メートル。大学敷地は今の6割ほどに減るが、現在は主に2~3階建ての建物を4~6階建てにして、延べ面積は1万6千平方メートル増の5万5千平方メートルを確保する。予定地の一部は、すでに市の高さ規制を緩和している。
施設配置は3案ある。鴨川に近い東側のA地区(1万2千平方メートル)に音楽学部、須原通と河原町通に挟まれたB地区(6千平方メートル)に共用施設、西側の河原町通-高倉通間のC地区(2万平方メートル)に美術学部とする案のほか、C地区に両学部を置いて横断的な活動を促す案、A地区にギャラリーなど発信交流拠点を集約する案を示した。
いずれの案でも共通して、高大連携を狙いに、銅駝美術工芸高(中京区)をC地区に移転させるとした。
予定地内には市営住宅7棟(262戸)があるが、入居の約160世帯には近くに建て替える市営住宅に移るよう求めている。利用者の多い下京地域体育館・崇仁児童館、人権資料を展示する柳原銀行記念資料館は残す。市営崇仁保育所は下京区の元六条院小の敷地に移し、民営化する。
事業費は大学と高校の移転費だけで280億円と見積もるが、西京区のキャンパス跡地の活用・処理費も必要で、関連費用を含めると増える可能性が高い。
市は、2月1日から基本計画案への市民意見を公募する。その後、17~19年度の基本・実施設計で委託業者や大学と協議しながら、3案を基に施設配置の詳細を決め、20年度から工事に着手する。
【 2017年01月23日 23時10分 】