残業の上限規制について議論する厚生労働省の有識者検討会は23日、論点整理案を示した。同案では「一定期間内の総労働時間の枠」を定めつつ、企業の競争力強化や生産性向上との両立を図る必要があるとの認識を示した。「長時間労働が避けられない業種・職種への一定の配慮」を求めるなど企業経営への目配りを求める内容も盛り込んだ。
検討会は昨年9月に第1回の会合を開いた。上限規制の具体策を検討する働き方改革実現会議での議論に資するように、大学教員などの専門家を中心に望ましい規制のあり方を議論してきた。政府は2月にも上限規制の具体案を示す方針だ。
論点整理案では、長時間労働の是正が「仕事と家庭の両立や働く人の健康確保に重要」と指摘した。
政府は上限規制について1カ月単位のほかに、繁忙期に対応しやすくするように複数カ月単位でも規制をかける方針だ。論点整理案では規制を1日単位や1週間単位で設ければ企業は繁閑への対応が難しくなると指摘した。このほか長時間労働が避けられない業種への配慮を求めた。
経済界も残業時間が事実上、無制限で延ばせる仕組みを変える必要については政府と一致している。ただ「規制が一律であっては困る」(日本商工会議所の三村明夫会頭)など、柔軟な運用を求める声が多い。