防衛通信衛星 きょう午後打ち上げ 防衛省が初めて独自に導入

防衛省が、部隊どうしの情報共有のために初めて独自に導入する「防衛通信衛星」が、24日午後、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられます。ロケットの機体は、24日午前3時すぎに発射場に移され、最終的な準備が進められています。
鹿児島県の種子島宇宙センターでは、24日午前3時ごろ、「防衛通信衛星」を載せたH2Aロケットの32号機が組み立て棟から姿を現し、30分ほどかけておよそ500メートル離れた発射場に移されました。

「防衛通信衛星」は、防衛省が初めて独自に導入するもので、広い範囲に展開する部隊どうしの情報共有に使われます。

防衛省は、現在、民間企業が打ち上げた3機の通信衛星を利用していますが、このうち2機が設計上の寿命となっているため、今回、通信の強化も狙って新しい衛星が整備されることになりました。

新しい衛星では、高速で大容量のデータのやり取りができるため、弾道ミサイルの発射情報の伝達や、海外に展開する部隊の動画の伝送などがより速やかに行えるようになるということです。

打ち上げを行う三菱重工業によりますと、24日の発射場の周辺は、雲が多い天気になると予想されていますが、打ち上げに支障はない見通しだということです。

「防衛通信衛星」を載せたH2Aロケットの32号機は、このあとの準備や天候に問題がなければ、24日午後4時44分に打ち上げられる予定です。

Xバンド防衛通信衛星とは

「Xバンド防衛通信衛星」は、部隊どうしの情報共有など自衛隊の通信に使うために導入されます。

現在は民間企業が打ち上げた3機の衛星を利用していますが、このうち2機が設計上の寿命となっていることから、防衛省は独自に3機の衛星を整備することになりました。

防衛省は、この衛星を使って外部から接触できない専用の通信網を作っていて、現在は通信の速度や容量が限られていることから、ファックスなどでのやり取りが中心となっています。

一方、新しい衛星では通信が高速になり容量も大幅に増えるため、通信の能力が大きく向上し、弾道ミサイルの発射情報の伝達や、海外に展開する部隊からの動画の伝送などがより速やかに行えるということです。

防衛省が独自に衛星を打ち上げるのは今回が初めてで、整備費として合わせて2300億円ほどが見込まれています。

3機の打ち上げ計画

防衛通信衛星は「きらめき」と名付けられ、合わせて3機の打ち上げが計画されています。

去年7月に1号機の打ち上げが予定されていましたが、輸送中に一部が壊れるトラブルが起きたため、今回、2号機が先に打ち上げられます。

防衛省では残る2機の「きらめき」について、来年(平成30年)と平成33年の打ち上げを目指しています。