トランプ米大統領、TPP脱退の大統領令に署名-通商政策仕切り直し
- 選挙戦中の公約を実践、「米国の労働者にとってすばらしいこと」
- NAFTAに関する行動についてはまだ作業中-当局者
トランプ米大統領は23日、環太平洋連携協定(TPP)から米国を脱退させる大統領令に署名、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の方針も表明しており、自由貿易を尊重する米国の数十年にわたる政策を転換させる構えだ。
「今われわれがしたことは、米国の労働者にとってすばらしいことだ」とトランプ大統領は他の11カ国との通商協定であるTPPから脱退の命令書に署名した後に述べた。TPPはまだ批准されていない。メキシコおよびカナダとのNAFTA再交渉についての命令には署名していないが、両国の首脳と見直しについて交渉を開始すると22日に述べている。
トランプ大統領は「これについてわれわれは長い間話してきた」と述べた。
同大統領は選挙戦中に、就任後早期に通商政策を見直すと公約しており、今回の行動はこれを実践したもの。NAFTA再交渉は22年にわたり北米の貿易の基盤だった合意を見直すことになる。TPP脱退はトランプ大統領の熱烈な支持者の多くに加え多数の民主党支持者にも歓迎されるが、アジアに経済的空白を生じさせ中国に影響力拡大の機会を与えることにもなる。
NAFTAに関する行動についてはまだ作業中だと、ホワイトハウスの当局者が匿名を条件に述べた。
トランプ大統領は選挙戦中からTPPやNAFTAへの反対を表明し、昨年11月にはTPPについて、米国にとって大災厄となり得るとし「就任初日」に脱退を表明すると述べていた。日本やメキシコ、シンガポールと米国の貿易を自由化する12カ国の合意であるTPPはオバマ前政権のアジア重視政策の成果の中心。
NAFTAについてトランプ大統領は22日、カナダのトルドー首相、メキシコのペニャニエト大統領との会談で議論を開始するつもりだと語っていた。同大統領はかねてNAFTAが米雇用喪失の原因だと論じている。大統領就任後には「メキシコは素晴らしい」と称賛し、隣国と進んで協力していく姿勢も示した。
原題:Trump Revamps U.S. Trade Focus by Pulling Out of Pacific Deal(抜粋)
Trump Revamps U.S. Trade Focus by Exiting Pacific Accord (1)