【ソウル聯合ニュース】潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は23日、聯合ニュースとのインタビューで、旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像の撤去問題について、「もし(日本政府が拠出した)10億円が少女像撤去の対価なら、決して受け入れられない」と強調した。帰国後、韓国メディアとのインタビューに応じるのは初めて。潘氏は次期大統領選への出馬に意欲を示している。
潘氏は「何よりも慰安婦だったおばあさんたちの恨(ハン)を解きほぐすことが重要」と強調。「昨年12月、安倍晋三首相に会った際も過去を直視する中で未来志向に進むべきだと話した」として、2015年末の慰安婦問題をめぐる韓日合意は問題解決の終わりにはならないとの考えを示した。
一方、中高歴史教科書の国定化問題については、「(歴史教科書の内容が)多少偏っているという指摘があったことは知っているが、先進国では歴史の国定教科書がほとんどないのが現実」として、「思想の自由や独創的な考え方を高めるという面からもさまざまな観点の教科書があるべきだ」と、反対した。
兵役期間を現在のおよそ半分の1年に短縮することや志願兵制導入、若者への手当支給など、次期大統領選の有力候補らが掲げている公約については「多くの公約が票だけを計算しているようで残念だ」と指摘し、「副作用はないのか、持続可能な解決策なのか、われわれの時代の役割を子供の世代に押し付けているのではないかなどの基準を持って念入りに検証しなければならない」と述べた。
潘氏の一連の発言については、歴史認識問題で朴槿恵(パク・クネ)政権と差別化を図るとともに、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表を含む野党陣営の次期大統領有力候補らの公約を大衆迎合主義だと批判することで、既存の政界の枠にとらわれない「政治交代」を強調する狙いがあるとみられる。
北朝鮮の核問題を含めた南北関係に関しては、「北の核保有は朝鮮半島だけでなく、北東アジア地域の平和と安定にとって大きな脅威」と指摘しつつも「戦争中にも対話は必要で、対話をしてみると創造的な解決策を模索できる」と主張。その上で、「乳幼児の支援、離散家族の再会など、人道支援については対話できる」との見解を示した。