トランプ米大統領が就任演説で強調した「米国優先主義」の原則は、韓米同盟と韓半島の安全保障を試すものとなりそうだ。トランプ大統領は「きょうここに集まった我々は、すべての都市、すべての外国の首都、そして権力が集まるすべての場所に新たな宣言を発している」と述べ、米国優先主義の原則適用に当たっては同盟国も例外はないことを明確にした。
特にホワイトハウスが同日発表した6項目の政策方針には、イラン、北朝鮮などのミサイル攻撃を防ぐため、最新のミサイル防衛システム(MD)を開発するとの内容も含まれている。米国が韓国に対し、在韓米軍への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備からさらに踏み込み、MDへの賛成を求めた場合、かなりの摩擦が予想される。
■韓米日MD協力強化へ
ホワイトハウスはトランプ大統領就任と同時に「米軍再建」という政策方針を明らかにした。これにより、韓米日3カ国によるMDをめぐる協力強化、在韓米軍へのTHAADの速やかな配備などが予想される。これまで韓国政府は北朝鮮のミサイルの探知・追跡情報を米日に提供するなど情報共有を行ってきただけで、米日のMDには直接参加しないとの立場を取ってきた。しかし、韓国軍の一部からは、トランプ政権が韓国にもっと積極的に3カ国によるMD協力を求めてくる可能性があるとみている。韓国政府筋は「米国のMD協力要求が強まり、それに韓国が応じた場合、中国の反発などTHAADに続く別の韓中対立要因が生じる可能性がある」と述べた。
次期大統領選で韓国に米日との情報共有、MD同調、THAAD配備などに否定的な政権が誕生した場合、直ちに前例がない韓米対立へとつながる可能性が高い。在韓米軍を守るための韓半島(朝鮮半島)へのTHAAD配備を韓国の次期政権が見直せば、同盟にひびが入る懸念もある。