米トランプ政権の発足以降、米国が中国を為替操作国(深層分析対象国)に指定するかどうかが関心事として浮上しており、それが韓国にも飛び火しかねない。トランプ大統領は大統領候補時代から中国を為替操作国に指定することを検討すると公言してきた。中国が人為的に人民元を安値に誘導し、対米貿易で巨額の黒字を上げているというのが理由だ。
中国が為替操作国に指定されるかどうかは、今年4月に明らかになる見通しだ。米財務省は毎年4、10月に主要国の為替報告書を発表するが、貿易促進法が定める3つの条件を満たせば、為替操作国に指定される。その条件とは(1)年間の対米貿易黒字が200億ドルを超える(2)国内総生産(GDP)に占める経常収支黒字が3%を超える(3)局による為替介入でドルの買い越しが対GDP比で2%を超える――というものだ。
現在中国は対米貿易黒字が年間3561億ドルで、最初の条件だけを満たす。しかし、米中が為替戦争を展開する場合、米国が指定条件を変更したり、1988年に導入した総合貿易法で中国を為替操作国に指定したりすることが考えられる。総合貿易法は貿易促進法とは違い、具体的な条件が明示されておらず、対米貿易黒字国や経常収支黒字国であれば、為替操作国として指定が可能だ。韓国も同法によって、88年に為替操作国に指定されたことがある。
問題は米国がこうした方式で中国を為替操作国に指定した場合、韓国も道連れで指定されかねないことだ。韓国は昨年既に1番目と2番目の条件を満たし、3番目の条件だけが当てはまらない状況で、どうにか為替操作国への指定を免れた。柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官は「米国が韓国を為替操作国に指定するという最悪のシナリオはないはずだ」としながらも「万一の状況に徹底して備える」と表明した。
為替操作国に指定されると、米政府は1年間にわたり該当国と貿易折衝を行い、改善を勧告する。1年後にも適切な措置が取られない場合、米国は政府調達市場への参加を制限し、国際通貨基金(IMF)を通じ、指定国のマクロ経済政策と為替政策を監視することになる。