ブラック企業流!入社1ヵ月の新人は2年目扱いで現場に出せ!
今回は入社1ヵ月の新人だった僕が、2年目の若手として偽装された経歴書を持って面談させられた話をします。
タイトルに惹かれてやってきたブラック企業の営業さん。
残念だったな!
新人を2年目と偽れば契約できると思っているかもしれないけど、不幸なことにしかならないぞ!
主に経歴詐称された本人の方がな!
経歴詐称の悲劇
入社して1カ月。
僕はようやく研修を終えたところでした。
文学部だった僕がSI業界に入ってやった研修の内容は、まったく手の付けたことがなかったC言語とJava。
未経験でも1日8時間を1ヵ月分やればそれなりにできるようになるんです。
ユーザーページ付のホームページなんか作れちゃったりして、僕は相当に自信を持っていました。
「地鶏くん、明日面談ね」
研修が終わったその日。
僕は営業さんにこう言われました。
初めての面談なのでドキドキですよ。
「どんなところですか?」
営業さんは笑って答えました。
「大企業」
やっべえ、大企業ですって奥さん!
いいの新人だよ?1年目だよ?1ヵ月だよ?
途端に営業のおじさまが最高にかっこいい紳士に見えてきました。
あ、面談って何話せばいいんだ?
これって仕事の交渉だよね?僕がミスると会社は損をするんだよね?
うおおおお緊張してきたああああ
「あ、面談には俺と5つ上の先輩もいるから大丈夫」
なんだ。
翌日、面談当日。
約30階建てのオフィスビルのロビーで待ち合わせでした。
「これ、経歴書ね」と言われて渡されたペラ一枚には「研修」の文字の代わりにこんなことが書いてあります。
〇〇年5月~〇〇年4月 仕事内容:銀行系システムの構築 使用言語:Java(Struts2)
ちょっと待てやおっさん
去年バリバリどっかで働いたことになってますやん。
隣の先輩が捕捉してくれます。
「下駄履かせるのはよくあることだから」
そんな事情知らないっす!
僕があたふたしている間に、営業のおっさんは手続を済ませて3人分のゲスト用カードキーを借りてきます。
ゲートを通ってエレベーターに乗り込み、おっさんが階数を押すのですが、僕は直視できませんでした。
エレベーターが開くとお客さんが待っていました。
深々と頭を下げられ、僕も頭を下げます。
会議スペースと書かれた部屋に通され、そこで面談の始まりです。
こちらが3人なら、あちらも3人。
めちゃくちゃ仕事ができそうな人たちです。
まずは営業さんと偉い人が世間話を始めて面談が始まります。
「地鶏くん、銀行系システムって書いてあるけど、工程は開発かな?」
何言ってんだこいつ
よく分かんないけど「そうです」って言おうとしたら、「そう」のあたりで営業のおっさんが被せるように「Javaの開発ですね。フレームワークはStruts2でOJTをしながら進めていました」
とかなんとか…もはやついていけない。
その後も僕に余計なことを喋らせまいと営業さんは僕に質問が来る度、すかさず答えていました。
相手も「暗黙の了解」を感じたのか、僕を無視して営業さんと話を進めます。
何喋ってるかわかんなくてあくび出そう。
気づいたら面談が終わっていて、「では、本日よりよろしくお願いします」と言われました。
そんな話聞いてなかったこっちとしては「あ、そうなの?」って感じです。
どうやらこちらの企業とうちの企業は、非常に厚い信頼関係にあり、いつも面談なしで採用していたのだとか。
しかし今回は若手2人を新たに加えるということで、一応その前に形式的に面談だけでも、となったらしい。
たぶん下駄履かせてないか確認したかったんでしょうね
どう見ても履いてました。
その後は既にうちの会社から現場に入っている先輩社員たちと合流して、現場の説明を受けました。
さあ、経歴詐称ワーキング!!の始まりです!
経歴詐称の掟
そこで働くにあたり、僕に課された掟は以下の通りである。
・経歴詐称は絶対にばれてはいけない。
・2年目の余裕を見せること。
・「わからない」と言ってはいけない。メモして後でうちの社員に確認すること。
スパイかな?
とにかく従わないことには仕方ありません。
それよりも僕は早く仕事がしたくて仕方がなかった。
研修1ヵ月でC言語とJavaをそれなりに使いこなせるようになった自負があり、その実力を早く試してみたかったのです。
「ところで、言語何使うんですか? Cですか? Javaですか?」
「ん、聞いてないの? COBOLだよ?」
コボルゥ?
出典はこちら
おいおいそんな低級種族モンスターみたいな言語が存在するなんて聞いてないぜ。
だいたい冷静に考えて、この状況、あらゆることがおかしくないか?
・入社1ヵ月でいきなり現場
・入社1ヵ月で経歴詐称
・入社1ヵ月で研修でやっていないことをやらされる
・入社1ヵ月でスパイ
そのとき僕は理解した。
これが、ブラックといわれる業界なのだと…。
その後、ふてぶてしさを演出するために何か一つ片付く度にうーんと伸びて椅子にふんぞり返るのをやっていたら、その姿を見た課長が何かに感心して社内で「地鶏は太いやつだ」という謎の噂が広まりました。
なんて話はともかく、これで何も起きずに済むわけがないんですよねぇ…。
経歴詐称で起きた事件
週に1回、その現場ではお客さんのセキュリティチーム(現場特定回避のため仮名)が見回りに来ることになっていました。
現場に一緒に入った5つ上の先輩が、僕のOJT(教育係)だったわけですが、あまりにも世話焼きな先輩がうっかりセキュリティチームの前で教育する姿を披露してしまったのです…。
「あのお、ちょっといいですか」
とセキュリティチームのお姉さんに声を掛けられたときは背筋が凍りました。
この現場、「新人はダメ」なはずで、OJTなど存在するはずがないのです。
僕は「あー終わった」と思いました。
会議スペースに僕を連れて行こうとするお姉さんが途中で振り返って、
「1対1でお願いします」と、後ろをついてきていた先輩を席に帰してしまいました。
どんな判決を言い渡されるのかとびくびくして椅子に座ります。
向かい合ったお姉さんは言いました。
「あんまりOJTは堂々とやらない方がいいと思います」
…って、あれ?
「よく思わない人もいると思うので」
お?
それ以上聞かないでと言わんばかりに別の話が進みます。
もしかしてこれは、見逃されたのか?
暗黙の了解ってことなのか?
そういう業界なのか?
僕がお姉さんに呼ばれた理由は、どうやら新しく現場に来た人へのセキュリティ指導(ガイダンスみたいなもの)でした。
先輩も僕の後に呼ばれていました。
僕は何事もなく済みましたが、別の現場では1日だけ出て「来なくていい」と言われた同期もいたそうです。
本当に意味の分からない業界ですね。
経歴詐称は是か否か?
是とは言いませんよ。
ただ、ベテランに「みんなこうやって成長してきた」とか言われると何も言えません。
経歴詐称するのは僕ではなく、会社だし、会社の事情なのですから。
社員…まして新人なんて、言われたことをやるしかないのです。
でも、こんなことがSI業界では当たり前に起こっているなんて聞いたら業界の信用をなくしますよね。
まったく信用のおけない世界ですよ。
会社は平気で社員を裏切りますし、守ってくれません。
「辞めたい」と申し出た僕がどんな目に遭わされたか…。
それはまた別の話。
企業のブラックさを調べるのも大切ですが、業界の体質もちゃんと調べましょうね。