やくざ映画や時代劇などで活躍した俳優の松方弘樹(まつかた・ひろき、本名・目黒浩樹=めぐろ・こうじゅ)さんが21日、脳リンパ腫のため死去した。74歳。
いずれも俳優の近衛十四郎と水川八重子の長男として生まれ、高校3年の1960年、近衛の所属していた東映に入社。「十七才の逆襲・暴力をぶっ潰せ」で銀幕デビューした。甘いマスクの二枚目として、「赤穂浪士」や「次郎長三国志」といった時代劇で人気に。69年に大映に移り、「眠狂四郎円月殺法」などに出演するも、71年に東映に復帰。ぎらついたすごみのある容姿をいかし、「仁義なき戦い」シリーズをはじめ「県警対組織暴力」「北陸代理戦争」といった東映実録映画のスターとなった。2003年には自ら「OKITE・やくざの詩」で初監督。
テレビにも活躍の場を広げ、88年に始まった「名奉行 遠山の金さん」シリーズでは約10年間にわたり、不良っぽい「チョイ悪」の金さんがお茶の間の人気者に。また、「ハケンの品格」では人情味あふれる営業部長を演じ、新たな一面を見せた。
業界きっての太公望として知られ、「松方弘樹 世界を釣る」などの番組に出演。特にマグロ釣りを得意とし、日本屈指のクロマグロの好漁場を舞台とした「萩クロマグロトーナメント」では300キロ超の大物を釣り上げ、優勝したこともある。弟は俳優の目黒祐樹さん。元妻に女優の仁科亜季子さん。