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研修5日目
私たち研修生は30数名はイスに座り。
お互いに向かい合いました。

「お互いの悪いところを指摘しあえ」
とは言われたものの・・・。
みんな「苦笑い」といいますか・・・

「おいおい、まじかよー」
「ほんとにやんの?」
「えー」
くらいのリアクションしかありませんでした。
なので、
「はじめ!」
と開始の合図をされても
「◯◯さん元気ないですよねー」とか
「シャツのボタンは上までしっかり止めましょう!」とか
どうでもいい指摘をし合っていました。
それもそのハズ。
みんなは5日間の研修生活を通して
互いに友情を深めあっており、

さらに「研修の疲れ」という
共通の悩みを持っていましたから・・・。
(こんな研修は、適当にやって終わらせてやろう)
という暗黙の了解が出来上がっていたのです。

10分毎に向かい合う相手をチェンジしながら
平和的に研修が進められていきます。
しかし!モチロン研修生の中にも例外はいます。
1人の女性研修生は
周りの空気が読めなかった・・・・ようで
凄まじいカナキリ声を上げて
「あんたのそういう所が~✗✗✗!!」
とか・・・なんとか・・・と

相手の研修生を罵倒していました。
それでも他の研修生は相変わらず、
無難なやりとりを続けているようでした。

まぁ・・・でも・・・・
こういう事態は・・・
すでに予測されているワケなんですよね・・・。

「おいブス!」
この平和な均衡を打ち破ったのは
タケルくんでした。

その暴言を聞いて
一瞬、その場の空気が凍りつきました。

タケルくんの前には
先程から「カナキリ声」を上げて
他の研修生を罵倒していた女性研修生がいました。
女性研修生は怒りでプルプルと震えています。
今思うと、
この研修を主催したA社の従業員だったタケルくんは
こういう事態になった時のために
何か「上司から指示」を受けていた・・のかもしれません・・。
ここから二人のすさまじい攻防が繰り広げられました。
「死ね!」
「ブス!」
「息がくせえんだよ!」
「うるせえ!」

みたいな・・・・・
何か程度の低い罵り合いをしていたような気がします。
その罵り合いを聞いて
みんなにも
少しピリピリとした緊張感が走ります。
休憩を挟みながら
1時間
2時間と時間が経過していきます。
疲れとストレスのせいなのか?
もう悪いところが見つからないのか?
少しづつ
みんなの「批判」も具体的な内容になってきます。
隣に座っていた男の人は
「男で軽自動車とかないわー」
とか言われていました。
・・・・具体的な批判は相手を「傷つけます。」
気がつくと、
そこかしこで、汚い罵り合いが始まっていました。

私?
私は・・・・
この研修中、
誰とも・・・
まともに・・・
交流をしていなかった・・おかげで、

みんな私の情報が少ないせいか、
それ程ヒドイ批判はされませんでした。笑
ですが。
すこーしづつ・・チクチクと
「暗い」とか
「声が小さい」とか

どうでも良い「批判」でも
言われ続けると胃が痛くなってきます。

休憩時間になると、
フラフラとトイレに入り
ゲロゲロ吐いていました。

そんな瀕死の私にトドメを刺したのは、
タケルくんでした。

私の前の前に座ったタケルくんは、
いきなり
「お前の会社、出来て1年位なんだって?ヤバイんじゃね?」
と言ってきました。
これはキツイ!
会社の情報はたぶん
上司であるA社のスタッフさんに聞いたのでしょう。
それを言われると
(そうかぁ・・・・そうかも)
と私も何も言い返すことが出来ませんでした。

誰がどう考えても、
起業1年チョイチョイの会社に入社する事は
ヤバイ事は明白です。

私にはタケルくんの的確な批判を言い返す力も無く・・・。
だんだん、
ただ自分の意識が遠のいていくのを感じていました。

その後もタケルくんは
「起業した会社の◯◯%以上は5年以内に潰れるんだぞ?」とか
何か、どこぞから持ち出した説得力のある情報?で
批判を繰り広げます。
私は、下を向いてジィーっと黙っていました。

(あんなに就職活動頑張ったのになぁ・・・)とか
色々な考えが頭を駆け巡ります。

でもまぁ、
結局最後に言われた
「お前いい歳してそんな仕事しか無いの?」
っていうのが一番効きました。

なんだかタケルくんの姿がボヤけて見える・・・。
私のほうが年上ですが、
タケルくんは本社の人間で
私は新しく出来た下請け会社の人間です。
これは心をえぐりとられるような威力がありました。

その後は、最初にお話した通りです。


気がついたら病院のベットで寝ていました。

どのくらい寝ていたのか???
時間の感覚がよくわかりませんでした。
ただ、
研修最後に行われる
A社の本社での集会??に参加して

エライ人の
「これからがんばってね!」
みたいな話だけ聞いて
新幹線で地元へ帰りました。
みんな目を真っ赤にして
泣いていた?
いや泣いた後のような顔をしていました。
ですがあの後、何があったのかは・・・私も知りません。
あと集会の最後、タケルくんとすれ違ったので
話すのは気まずいので、
ペコっと頭だけ下げておきました。
(ご迷惑をおかけしました。)という意味で

タケルくんも、チョット気まずそうな顔をしていました。
彼も・・・なんというか、
仕事の上で仕方なくやった事なのだと思います。
そう思いたいと思います・・・・。
まぁこうして
愉快な研修は無事終えたのですが、
ここはあくまでも
仕事を始める前の「研修の場」でしかないのです。

実際の現場の過酷さは、こんなものではありませんでした。

たぶんそれは、私の同期6名も感じ取っていたのだと思います。

研修を終えて、
初出勤日にはすでに
3名?くらいの同期は居なくなっていました。
それから・・・何日くらいだったでしょうか・・・・
確か・・そう1週間くらい後には、
同期はもう私しか残っていなかったと思います。

でも、それで良かったのです。
他に行く場所があるのなら、辞めて良かったのです。
研修を終えて
「この会社はヤバイ!」と気づけた
正しい感覚を持っていた彼らなら、
その後、きっと良い会社に巡り会えたはずです。
ああ、あとモチロン研修から帰って
研修生30数名の中で見事成績最下位だった私は

部長が愛用している「金属バット」で
ヒザを叩かれて叱られました。

これもたぶん・・・知らない人が多いと思いますが・・・
「金属バット」は人を殴る道具ではありません。
つづく
