蹴球探訪
奇跡の初優勝見えた レスター・岡崎が激白「試合後はいつも悔しい」(4月27日)
【首都スポ】ラグビー 大学王者・帝京大 TL全勝Vのサントリー相手に奮闘2017年1月22日 紙面から
◇ラグビー日本選手権<準決勝> サントリー54−29帝京大ラグビーの日本選手権は21日、大阪・花園ラグビー場で準決勝2試合を行い、大学選手権8連覇の帝京大は29−54でトップリーグ(TL)全勝優勝のサントリーに敗れた。帝京大はフッカー堀越康介(3年・桐蔭学園)、WTB竹山晃暉(2年・御所実)の連続トライなどで前半を21−21で折り返したが、後半に入って地力に勝るサントリーに突き放された。ただ、サントリーの29失点は今季ワースト。学生王者の実力を周囲に知らしめ、将来の日本選手権学生枠復活をアピールした。決勝はサントリー−パナソニックの顔合わせで29日、東京・秩父宮ラグビー場で行われる。 相手が強くても関係ない。帝京大フィフティーンは80分間ひるまず攻め続けた。 前半は不利な風下からサントリー陣に侵入し、スクラムで押し込まれてもタックルでボールを奪い返す。29分には一時14点差をつけられたが「最初のコンタクトから『行ける』という感触があった」と亀井亮依主将(4年・常翔啓光学園)。 前半37分に相手陣で得たPKからラインアウトを選択し、FWがモールの力勝負で押し込んで来季主将のフッカー堀越がトライ。さらに直後の40分、自陣ゴール前に攻め込まれながら、相手のパスミスをFW渋谷拓希(4年・同)が確保すると、赤い軍団は迷わずカウンターを仕掛けた。 FW飯野晃司(同・三好)、CTB矢富洋則(3年・仙台育英)、SO松田力也(4年・伏見工)とつないだパスを受けた来季の副将FB尾崎晟也(3年・伏見工)がスピードで相手ディフェンスを次々に振り切って敵陣に入ると、サポートについたWTB竹山につなぐ。100メートルを切り返すスリリングなトライにスタンドが熱狂した。 「去年の日本選手権や今年の練習試合の経験から、自分のランが通用する自信はあったし、攻めるスペースが空いてることは味方からの声で分かってた」と尾崎。大学では敵なしの不沈軍団が磨き上げてきた綿密なコミュニケーション力がTL王者相手でも爆発した。 後半はシンプルにスクラムと縦攻撃に切り替えたサントリーに押し込まれて連続失点。最終スコアは29−54となり、「悔しくて泣く選手もいた。それだけ本気で勝とうと努力してきたんです」と岩出雅之監督(58)も唇をかんだ。 日本協会は来季から日本選手権の学生枠廃止を決めた。それだけに「本当はもっと点差を詰めたかった。勝つチャンスもあったし、正直悔しい」と話した同監督は「この舞台がなくなっても、トップリーグへの挑戦は続けたい」と言葉に力を込めた。自分たち自身の成長のために大学王者はTLへ挑み続ける。 (大友信彦) ◆対戦熱望もTL参戦には慎重姿勢学生では無敵を誇り、大学選手権8連覇中の帝京大は「打倒トップリーグ勢」を目標に掲げ、シーズン中も“出稽古”や練習試合を重ね、2季前の1回戦ではNECを31−25で破っている。来季は公式戦で挑戦する機会がなくなるが「学生が成長する機会は必要だし、トップリーグとの練習試合は続けたい」と岩出監督は語った。 来季主将の堀越も「トップリーグ勢との違いはコミュニケーションやポジショニングなど小さい部分のクオリティー。その差は実際に対戦して実感できる」と今後もTL勢との勝負を熱望した。 「帝京大がトップリーグに参戦すれば」という声もあるが、岩出監督は「いろんな見方があるけれど、僕の立場では、学生がけがをしないようリスクを減らすことが大切」と慎重姿勢。TL参戦となれば、毎週格上と試合をしなければならず、不測の事態も懸念される。答えを出すのは簡単ではない。 (大友信彦) ◆サントリーの帝京大元主将からひと言▽CTB中村亮土(13年度主将)「僕らの時より全然レベルアップしている。ボールの動かし方とかうまくなっているし、守備をしていても難しかった」 ▽SH流大(ながれ・ゆたか、14年度主将)「学生としてではなく、日本選手権に出てくるチームとしてリスペクトして戦おうと話をしていたが、(今季ワースト29失点&失トライ4は)やってみたら隙が出たんだろうと…。(日本選手権出場は)学生のときに一番のモチベーションにしていた。(出場できない)学生にとっては残念だと思う」
◆サントリー、今季ワースト失トライ4&失点29サントリーの沢木敬介監督(41)は「前半は帝京大の勝ちたい気持ち、ハングリーさが上回って素晴らしい試合をした。うちはハングリーさが足りなかった」と険しい表情で試合を振り返った。 前半は一時14点をリードしながら連続トライを許し、振りだしに戻されての折り返し。TLでは失点24、失トライ3がワーストだったが、この日は帝京大の果敢な攻撃に前半だけで3トライを献上。後半は攻撃のリズムをつかんで5トライを奪ったものの、28分には再びトライを奪われた。失トライ4&失点29はともに今季のワースト記録更新だった。 「ハーフタイムに沢木監督に『おまえらはこれでいいのか』と言われて目が覚めました。でもそれじゃ遅い」と唇をかんだのはFW真壁。「油断はないけど、最初からいつもの力を出せない。大学生との試合が難しいのは分かっていたんだし、自分たちで修正しなきゃいけない。来週もこれじゃ負けます」 決勝の相手はシーズンが進むにつれ、尻上がりの好調パナソニック。果たして、TL王者は苦戦を次戦への良薬、糧にできるのか。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。 PR情報
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