【歴代番記者が稀勢の素顔に迫る】一度だけバラエティー出演

2017年1月23日10時0分  スポーツ報知
  • 05年のラスベガス巡業で、NBCの人気番組のリポーター、ジョン・メレンデス氏(下)を投げる稀勢の里(共同)

 ◆大相撲初場所 千秋楽(22日・両国国技館)

 不敵な面構え、少ない口数。テレビで見る姿そのままの稀勢の里だが、取材現場で見せる素顔がある。夢にまで見た横綱の風景。今では考えられないテレビ向けのパフォーマンス。歴代番記者が素顔に迫る。

 稀勢の里の先代師匠、故・鳴戸親方(元横綱・隆の里)は「力士は土俵で相撲を取るのが仕事」という方針で、部屋の力士がバラエティー番組やCMに出演するのを認めなかった。だが、生前、稀勢の里が1度だけ出たことがある。2005年10月、ラスベガス公演が開催された米国でのことだ。

 エンターテインメントの本場で大相撲をPRするという公演の趣旨を、頑固な師匠も理解したのだろう。NBC放送の「Tonight show」というバラエティー番組。同年秋場所を12勝3敗で終え、初の三賞(敢闘賞)を受賞した西前頭16枚目のホープに白羽の矢が立ったのだ。

 収録現場はマンダレイベイリゾートだった。「お相撲さんって、こんなに強いんだよ」と米国民に知らしめるためのパフォーマンス。上半身裸になった米国人の男性リポーターの前に立ちはだかった。胸を出し、まわしをつかんで食い下がる男性を払いのけ、床に叩き付けた。派手なアクションで、身もだえる男性を見下ろして高笑い。稀勢の里、幻の?“バラエティーデビュー”である。

 この頃から口数は少なく、力士と記者の飲み会に参加することもなかったが、ラスベガス公演後の打ち上げでは、初めて酒を勧められた。稀勢の里が差し出してきたのは、並々とテキーラが注がれたグラス。普段は無口なのに「もちろん一気で」と付け加えるのを忘れなかった。(01~06年相撲担当 現社会部・甲斐 毅彦)

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