津市のセルフ式ガソリンスタンド(GS)3店で13日早朝に強盗致傷・窃盗事件が相次ぎ、移動に使われたとみられる盗難車が津市内で発見され、車内に発炎筒と焦げ跡があった。捜査関係者への取材で分かった。三重県内では昨年9月以降、盗難車が燃える不審火が9件続き、付近で車上狙いが連続発生していた。県警は金品目当ての同一犯が盗難車を犯行に使い、証拠隠滅のため焼いた可能性を視野に捜査している。
県警によると、強盗致傷事件は13日午前5時半ごろ、津市栗真中山町のGSで屋外の精算機を男がバールのようなもので壊して現金約1万円を奪い、男性アルバイト店員(48)を殴って左腕を骨折させ白い乗用車で逃げた。
前後して午前5時台に津市の別のGS2店でも精算機から計約24万円が盗まれ、ともに白色の乗用車が走り去っていた。うち1店の防犯カメラには、車内に男の姿と別の人影のようなものが見えるセダンタイプの車が映っていたという。
捜査関係者によると、県警は防犯カメラの映像などを手掛かりに調べを進め、津市内の道路脇の空き地で数日後、3店から逃げ去ったとみられる白い「レガシィ」(富士重工業)が乗り捨てられているのを発見した。盗まれた車で、車内に火をつけた跡が残る発煙筒があり、助手席のシートが焦げていた。
津市と隣接する松阪市では昨年9月16日から今月8日までに、盗難車9台が燃える事件が相次いでいる。いずれも週末前後の未明から早朝に起き、周辺では車上狙いが計50件以上発生している。
燃えた車はレガシィや「クラウン」(トヨタ自動車)など。全て10年以上前に製造された排気量2000CC以上の走行性能が高い車種で、複数の車の焼け跡から発煙筒が見つかった。捜査関係者は「逃走に使った後、毛髪などの遺留物を残さないために焼いているのだろう」とみる。
車上狙いの被害額は多くても1件当たり約2万円だった。捜査関係者は「同一犯だとしたら、実入りを求めてターゲットを変えているのかもしれない」と話す。【井口慎太郎】