千葉県警が昨年、全国で初めて裁判所の令状を取り、捜査対象者の使っていた車に全地球測位システム(GPS)端末を取り付けていたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。
令状のないGPS捜査の違法性を巡っては各地の裁判所で判断が分かれており、最高裁大法廷は春にも統一判断を示すとみられる。警察庁幹部は「裁判所の判断が分かれる中、違法な証拠収集と言われないよう、念には念を入れて令状を取った」としている。
捜査関係者によると昨年、自動車盗事件の捜査で、関与しているとみられる人物の行動を把握するため、本人が使っていた車にGPS端末を取り付けた。
令状は(1)捜査に支障がなくなった段階で、本人にGPS端末を使用したことを提示する(2)端末を取り付ける際、無断で私有地に立ち入らない――などの条件で請求した。
GPS捜査を巡り、名古屋高裁は昨年6月、「プライバシー侵害の危険性がある」として、高裁レベルでは初めて令状がなければ違法とする判断を示し、立法措置の必要性も指摘した。一方で広島高裁は同7月、令状は不要で適法とした。
警察庁は2006年にGPS捜査の通達を出し、犯罪の疑いや危険性が高く、速やかな摘発が求められ、他の手段で追跡が困難な場合、裁判所の令状が必要ない任意捜査で利用できるとしている。〔共同〕