Q: 韓国の態度は今までだって酷かったのに、日本が強硬な姿勢を取るようになりましたよね?
A: 政治的な部分については、政治の専門家に任せますが、経済的な部分では、たとえば「日韓スワップ」の交渉を中断するなどの常識的な判断が下されたことは良かったと思います。
Q: 「日韓スワップ」って日本には一切メリットはないんですよね?
A: はい。日韓スワップは、事実上、韓国が経済危機に陥った時に、日本が支援することを強制される協定です。5年ほど前、韓国ウォンが急落したときに、当時、日本は民主党(現在の民進党)政権だったこともあり、日本円で5兆円を超える規模の日韓通貨スワップ協定を新たに結んだことがありました。その時、韓国メディアは「ケチな日本が、5兆円のスワップ協定を締結」と報道したことも、韓国の国民性がよく表れているエピソードのひとつです。
Q:日韓スワップ以外には将来、日本政府が韓国を支援しないといけない制度とか、日本国民の財産が韓国のために使われるような仕組みって、ありませんよね?
A:日韓スワップは、多くの国民に知られるところとなりましたが、他にもあります。韓国は国債を大量に発行して(=多額の借金をして)危機を切り抜ける方法も考えられますが、実は、日本が韓国の国債を買って支援する枠組みがあります。2012年4月、これも民主党(現在の民進党)が与党だった時に、当時の安住財務相が「日本政府としてウォン建ての韓国国債の購入を検討している」ことを突然表明、1週間後には、日本は韓国の国債を購入することで合意しました。国民の財産である貴重な外貨準備を用いて、信用力の低い韓国国債やウォン建て資産を購入する国なんて聞いたことがありません。当時、日本はゴールデンウィーク期間中で、マスコミ報道もほとんどなく、そのような重要な枠組みが合意されたことについて、現在の民進党は国民に説明する義務があるでしょう。
Q:日韓の経済関係が冷え込んだ場合、日本経済は悪影響がありますか?
A:いいえ、悪影響はありません。「日本と韓国は切っても切れない関係」だとか、「政治は冷え込んでも経済関係は持続発展させるべき」などのコメントもしばしば聞かれますが、経済的には、韓国の存在は特に重要ではありません。
Q: 日本経済への悪影響がないと言い切れる根拠は何ですか?
A: 日本の貿易額は輸出が年間約75兆円、輸入が年間約78兆円。韓国への輸出が年間約5兆円でシェアは約7%、韓国からの輸入が年間約3兆円でシェアは約4%(※2015年財務省統計より)。輸出入のシェアが約4~7%あると聞くと、それなりの重要度があるのかと思われがちですが、実は、貿易立国といわれた日本も現在では、経済全体に占める貿易の重要度は低下しています。アベノミクスで大幅に円安になって輸出産業が活況を呈したのに、国民が景気回復をあまり実感できなかったのは、そのためでもあるのですが、日本経済全体(GDP)に占める輸出の割合は14.5%程度。つまり、日本経済全体のなかで韓国への輸出が占める割合は1%しかありません。韓国からの輸入が占める割合はわずか0.6%です。さらに言えば、韓国からはエネルギーなど必要不可欠な品目を輸入しているわけでもありません。仮に明日、韓国との国交が断絶して、日本と韓国との経済関係も完全に断ち切られたとしても、(韓国との取引関係が深い企業は、個別に影響を受けるでしょうが)、日本経済全体への影響度は1%かそれ以下しかないというのが事実です。
Q: トランプ氏は何か関係していますか?
A: トランプ氏は、民間企業のやることですら、それが自分の国の利益につながるのかどうかに非常に敏感ですね。日本もせめて、国家としてやることについては、たとえば日韓スワップや、韓国国債の購入などが、どういう理屈で日本の国益になるのか?あるいは、韓国との経済関係が重要だと言う人は、日韓関係が冷え込むと具体的に日本経済がどれくらいマイナスになると試算しているのか?本当に日本経済が悪影響を受けたことがあるのか?国民に説明する義務がある当たり前の時代になりそうです。(執筆者:為替王)(イメージ写真提供:123RF)
日韓関係悪化! 日本経済への影響は?=為替王
2017-01-11 09:04
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