ことしの春闘 きょうから事実上のスタート

経団連と連合のトップらが春闘に向けた方針を説明する労使フォーラムが23日から始まり、ことしの春闘が事実上、スタートします。労使交渉では、どの程度の水準の賃上げが実現するかに加えて、長時間労働の是正など働き方改革も主要なテーマとなる見通しで、交渉の行方が注目されます。
労使フォーラムは、春闘で労使双方の議論を深めようと、経団連が23日から2日間の日程で開きます。

初日の23日は、経団連の榊原会長と連合の神津会長が春闘に向けた方針を説明し、ことしの春闘が事実上、スタートします。

経団連は企業に4年連続の賃上げを呼びかける方針ですが、その方法として、基本給を引き上げるベースアップだけでなく、ボーナスの増額や、介護離職を防ぐための手当の創設など、多様な選択肢から検討するよう呼びかけています。

これに対して、連合は、ベースアップに相当する賃上げにこだわって要求する方針を掲げていて、要求基準はベースアップ相当分で2%程度としています。

来月中旬以降本格化する労使交渉では、アメリカのトランプ新政権の発足などで経済の先行きに不確実性が増す中、ベースアップも含めて、どの程度の水準の賃上げが実現するかを焦点に交渉が行われる見通しです。

また、ことしは、大手広告会社、電通の社員が過労のため自殺した問題などを受けて、働き方改革も労使交渉の主要なテーマとなる見通しで、長時間労働の是正につながる賃金や人事制度の見直しがどこまで進むかも注目されます。

春闘は、組合側の要求に対して、大手企業が相次いで回答を出す3月を山場に交渉が進められます。

どの程度の賃上げ実現できるか

春闘は、2008年に起きたリーマンショック以降、賃金の水準を維持するかどうかを焦点に労使交渉が行われる状況が続きました。

それが変わったのは2014年の春闘です。

政府は、経済の好循環を実現し、デフレからの脱却を図るためには、賃金の引き上げが欠かせないとして、経済界に繰り返し賃上げを要請しました。

それまで基本給を引き上げるベースアップは「論外だ」としてきた経団連は、この年の労使交渉で、「ベースアップも選択肢の1つ」として賃上げを前向きに検討するよう呼びかけました。

その結果、円安で輸出企業を中心に業績が回復したこともあって、年齢などに応じて自動的に賃金が上がる定期昇給を含めた賃上げ率は2.28%と、15年ぶりに2%台になりました。

その後、賃上げ率は3年連続して2%を超える状況が続いています。

ただ、この賃上げ率の多くの部分は定期昇給が占め、政府や連合などが求めるベースアップ分はわずかだという指摘もあります。

ボーナスや退職金などを算定する際の基準となる基本給を引き上げるベースアップは、いったん実施すると将来にわたって人件費が増えることになるため、依然として慎重な企業が多いからです。

経団連は、ことしも4年連続となる賃上げを呼びかけていますが、具体的な方法については、ベースアップだけでなく、ボーナスや手当の増額など多様な選択肢から検討すべきだとしています。

これに対して、連合は、ベースアップに相当する賃上げにこだわって要求する方針を掲げています。

ことしの春闘では、アメリカのトランプ新政権の発足などで経済の先行きに不確実性が増す中、ベースアップも含め、どの程度の水準の賃上げが実現できるかが労使交渉の焦点となります。