先日のこと、飲み会のために久々に武蔵小杉の北口に降りました。
軽く読書する時間が欲しいなと仕事を早めに切り上げて向かった先は武蔵小杉駅前店、東急の高架下にあったはずのその店舗はしかし、何もないスペースに成り果てていました。久々だから場所を間違えたかなとケータイでポケGOを起動すると、そこにはポケストップが……廃墟にポツンと立つそのポケストップはマックがかつて小杉に存在していたことを虚しく証明していました。
小杉には2つのマックがありました、武蔵小杉駅前店と武蔵小杉店です。31年続いた武蔵小杉店は昨年の始めに閉店、そして駅前店は同じく昨年の10月に閉店したそうです。
武蔵小杉といえば今を時めく交通の要所です。そんな重要な土地から撤退するというのはどんな判断なんでしょう。マックに何か起こってるのかなと不思議に思ったので決算を軽く見てみました。
売上と利益の推移~モスを添えて~
まずは営業成績からです。比較対象があった方がいいかなと思ってモスを並べてみましたが、売上も利益も規模が違いすぎて比較にならないですね。ただ1点明らかに違うのは安定性です。マックは振れ幅が大きく、モスはそれが比較的小さいです。
マックの利益面の激動は、直近2年は食の安全に関するものでしょう。期限切れナゲットが問題になった2014年、異物混入が相次いだ2015年…客足は遠ざかり円も安くなって材料費がかさんだんでしょう。外食産業は参入障壁が低くプレイヤーが多い業界です。ちょっとした不安や不信が業績を大きく揺るがすことになる、ということを強く意識させられる結果です。今はやりの豊洲市場の移転などもそうですが、一度マイナスのイメージがついてしまうと、その挽回にどれほどのエネルギーが必要かは推して知るべしです。
また2015年は店舗閉鎖損失に関する特別損失が計上されています。
(引用元:マクドナルドの売上高・店舗数推移(2015年まで) | 総合ランキングニュース)
最近の短信に店舗投資の加速という項がありましたが、成長が見込めない店は戦略的に撤退させ、利益が見込める店の改装に力を入れているそうです。武蔵小杉が成長を見込めないのはどういう理屈かな?と疑問はありますが、小杉は人が遊びに来るところというよりは暮らしていくところで、回転率より客単価が効いてくる気がします。また小杉に住める水準の家族は外食するにしても、もっといいとこ行くでしょうし…みたいな判断があったのかもしれないですね。個人的には小杉で安く時間つぶせる場所が無くなって残念ですが。
マックの主な株式指標~モスを添えて~
やはりマックだけだと寂しいので同業のモスも添えておきます。EBITDAは2015年度実績、ほかは2016年度予想です。毎度のことですが、投資の際は自己で数値を確認するようお願いします。
この数字を見ての第一印象はモス高いな!マックはもっと高いな!といったところです。収益に対する割安度の指標であるPERは15倍くらいが割安・高の境目かと思いますが両社とも遥かに上です、マックに至ってはケタ違い。*1資産に対する割安度の指標PBRも2倍以上と明らかに高いです。どちらも成熟企業で成長が限定されますし配当も決して高くありません。ということは、この株価の高さは完全にブランドによって決まっているといっても過言ではないでしょう。外食という厳しい業界にあってこのブランドの強さは異常です。
株価の動き~モスを添えて~
(引用元:https://www.google.com/finance?q=2702&ei=DqOEWMj_IcmO0wSX2LvYAg)
やはりモスを添えます。赤い方がモスで青い方がマックです。
モスが大きく伸びているなか、マックはイマイチ乗り遅れています…が、ここ数年の低迷を考えると大して下げてないなって印象です。ブランドが強いんでしょう。マックは店舗の取捨選択を進めていますし、稼げる店を重点的に伸ばす方針にしているので今後は業績の巻き返しが予想できます。膿を出し切って、さぁこれから!って感じですね。
またQSC&V(品質・サービス・清潔さ・価値)といった理念を強く邁進していくと同時に、地域に密着した店舗づくりをしていくそうです。店舗数が多く土地によって客層や慣習が違うであろう環境においてどれだけ地域に密着できるか?というのはなかなか難しいミッションかと思いますが、地元に愛されない店に客は定着しません。ぜひその地域の「無くてはならない」存在になれるよう、頑張ってほしいですね。今はモスが大好きな僕も、かつては家族でマックに行くの、好きだったんですから。
PS)株買うの?
高いから買いません。
*1:PERの水準は業界にもよりますが