〈時代の正体〉まとめサイトも削除 在日3世への差別書き込み LINEが法務局要請応じる

キムチ速報の差別書き込みがスレッドごと削除されたライブドアブログの画面

時代の正体取材班=石橋 学】ヘイトスピーチ(差別扇動表現)で被害を受け、差別の根絶を訴えている川崎市川崎区の在日コリアン3世、崔(チェ)江以子(カンイヂャ)さん(43)がインターネット上の書き込みで差別と人格攻撃にさらされている問題で、掲示板のまとめサイト「キムチ速報」の崔さんに関する書き込みがスレッドごと削除されたことが20日までに分かった。

 人権侵害に当たるとして横浜地方法務局が行った削除要請にライブドアブログを運営しているLINE(東京都渋谷区)が応じた。同問題を巡ってはこれまでブログやツイッターの投稿、ユーチューブの動画などが削除されているが、掲示板まとめサイトの削除は初めて。

 LINEが要請を確認した5日後の昨年12月26日に削除を行った。同社は「(人権侵害との認定を)厳粛に受け止めた。表現の自由との関係から削除の判断を自社だけで行うのは難しい場合が多いが、法務局が違法と判断を示すことで迅速に対応できた」としている。

 キムチ速報はネット掲示板「2ちゃんねる」の投稿を転載しているまとめサイトで、ライブドアブログに掲載されている。昨年10月29日に崔さんを誹謗(ひぼう)中傷する書き込みが法務局の要請で削除されたと本紙が報道したのを受けてスレッドが立てられ、同日夜から同31日早朝にかけて「死ねよバカチョン」「殺っちゃえ!」「在日は不法滞在ゴキブリ」などと約140件が書き込まれた。

 崔さんの救済申し立てを受け、同法務局と法務省人権擁護局のヘイトスピーチ被害相談対応チームが審査し、人格権を侵害する不法行為と認定した。

 LINEによると、要請を受け、差別や誹謗中傷、犯罪・違法行為などを禁じた利用規約に抵触すると判断。キムチ速報の運営者に削除を求めたものの期日までに実行されなかったため、社内規定に基づきスレッドごと削除したという。

 崔さんは2015年11月と昨年1月に在日コリアン集住地域の川崎区桜本を標的にしたヘイトデモへの抗議活動に参加したことをきっかけにネット上で攻撃を受けるようになり、大手検索サイトで70万件以上の書き込みがヒットする状況が続いている。川崎市では、行政がモニタリングを実施し主体的に削除要請を行うことを求める市人権施策推進協議会の提言を踏まえ、ネット対策の検討が始まっている。

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