トランプ大統領就任 各国から期待と警戒感

トランプ大統領就任 各国から期待と警戒感
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アメリカのトランプ新大統領が就任したことを受け、各国の首脳などからは期待や警戒感など、さまざまな反応が示されました。
カナダのトルドー首相はトランプ新大統領の就任演説を受けて声明を発表しました。この中で「カナダとアメリカは世界でももっとも緊密な2国間関係を築いてきた。両国はともに貿易と投資の強い結びつきで利益を得て経済を統合し、何百万人もの雇用を支えている」と指摘し、TPPやNAFTAへの具体的な言及はないものの、自由貿易の重要性を強調しています。カナダは、メキシコとともにNAFTAの加盟国で、アメリカへの輸出に関税がかからない協定に基づいて、自動車部品などをアメリカへ輸出しています。また、TPPにも参加しており、協定が発効すればアメリカや中国に次ぐ第4位の輸出先の日本に、農林水産品の輸出を増やせるほか、企業誘致にも追い風になると期待していました。カナダの農業団体は、去年11月アメリカ以外のTPP参加国が協力し、新たなアプローチで交渉すべきだという考えを示してTPPの枠組みを推進するよう訴えており、カナダ側の今後の対応が注目されます。

カナダ首相が声明

カナダのトルドー首相はトランプ新大統領の就任演説を受けて声明を発表しました。この中で「カナダとアメリカは世界でももっとも緊密な2国間関係を築いてきた。両国はともに貿易と投資の強い結びつきで利益を得て経済を統合し、何百万人もの雇用を支えている」と指摘し、TPPやNAFTAへの具体的な言及はないものの、自由貿易の重要性を強調しています。カナダは、メキシコとともにNAFTAの加盟国で、アメリカへの輸出に関税がかからない協定に基づいて、自動車部品などをアメリカへ輸出しています。また、TPPにも参加しており、協定が発効すればアメリカや中国に次ぐ第4位の輸出先の日本に、農林水産品の輸出を増やせるほか、企業誘致にも追い風になると期待していました。カナダの農業団体は、去年11月アメリカ以外のTPP参加国が協力し、新たなアプローチで交渉すべきだという考えを示してTPPの枠組みを推進するよう訴えており、カナダ側の今後の対応が注目されます。

メキシコ大統領がツイート

メキシコのペニャニエト大統領は、トランプ新大統領の就任演説を受けてツイッターに投稿しました。この中でペニャニエト大統領はトランプ氏に祝辞を述べ、両国の関係を強化しようと呼びかけています。その一方で、「トランプ新政権とお互いに敬意を示す関係を築きたい。メキシコの主権と国益、それに国民を守ることが新たな政権との関係に影響を与えるだろう」とも述べて、警戒感もにじませています。

メキシコは、NAFTA=北米自由貿易協定を含め世界の46か国と自由貿易協定を結んで関税をなくし、主にアメリカへの輸出拠点として経済成長を遂げてきました。TPPが発効すれば新たに東南アジアやオーストラリアなどにも自由貿易圏を広げることになるため、さらなる投資を呼び込めると期待していました。

去年11月、メキシコのグアハルド経済相は、アメリカが離脱した場合でも他の参加国と発効すべきだいう考えを示していました。また、NAFTAについてメキシコはこれまでに、再交渉を求められれば応じる考えを示してきました。今回、アメリカが正式に再交渉を表明したことへの反応はまだありませんが、メキシコの通商政策への影響は避けられない見通しです。

中国メディア 速報で伝える

中国では、国営メディアがトランプ大統領の就任を速報で伝えました。このうち中国中央テレビは「トランプ氏は就任演説の中でアメリカ第一主義を強調した」と記者が現地から電話中継し、大統領就任に反対するデモが起きていることを伝えました。

また、中国政府は就任式のあと、公式な発表はしていませんが、中国外務省の華春瑩報道官は20日の記者会見で、「アメリカとの関係は世界で最も重要な2国間関係の1つで、安定した健全な関係の発展は両国の利益にかなうものだ。意見の違いはあるが、重要なのは適切に処理することだ」と述べ、対立を抱える中でも、トランプ政権と安定した関係を築きたい考えを強調しました。

一方で、中国政府が「核心的利益」と位置づける台湾問題をめぐって、トランプ大統領が、中国の対応次第では「1つの中国」の考え方を見直す可能性を示唆する中、華報道官は「アメリカが互いの核心的利益や重大な関心事を尊重するよう望む」と述べ、トランプ政権に対して、中国が譲歩できない問題で挑発的な行動をとらないようくぎを刺しています。

このほか、トランプ大統領は、中国に対して増大する貿易赤字を念頭に、為替を意図的に誘導している「為替操作国」に認定して高い関税をかけると主張するなど経済分野でも中国に厳しい姿勢を示していることから、中国政府は、トランプ政権の今後の動きに警戒を強めています。

台湾総統「友好関係深化に期待」

トランプ大統領の就任を受けて、台湾の蔡英文総統は、ツイッターで「友好関係とパートナーシップを深めていくことを期待している」というメッセージを発表しました。また、蔡総統は、総統府が発表した声明の中で、「アメリカは台湾の最も重要な盟友で、自由と民主、人権という共同の価値を共有している。アジア太平洋地域の和平や安定に積極的に貢献してきた」としています。

そして、「アメリカ政府がトランプ大統領のもとで、台湾とアメリカの関係をさらに一歩発展させ、国際社会の利益にも多くの助けとなることを期待する」としています。アメリカと台湾は、正式な外交関係はありませんが、トランプ新大統領は、アメリカの歴代政権が堅持してきた台湾政策を見直す可能性を示唆していて、それに神経をとがらせる中国政府との駆け引きが続いています。

台湾では、トランプ氏が就任前に蔡総統と異例の電話会談を行うなど、台湾に接近する動きに期待する声と、中国との関係が緊張することに懸念する声の双方があり、蔡総統が情勢の変化にどう対応していくのかが注目されています。

イスラエルとパレスチナ双方から祝意

トランプ大統領の就任式を控え、イスラエルのネタニヤフ首相はユダヤ教の安息日が始まる直前にツイッターで、「おめでとう、わが友トランプ大統領。イスラエルとアメリカの同盟をかつてなく強いものにするためともに働くのを楽しみにしている」と投稿しました。

また、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長も就任式の後、通信社を通じて「トランプ大統領に祝意を示すとともに、悲劇的な時代を迎えている中東や、混乱する世界に安全と安定をもたらすためにともに働くことを楽しみにしている」とコメントを発表しました。

トランプ大統領は、娘婿でホワイトハウスの上級顧問に指名しているジャレッド・クシュナー氏に中東和平交渉を担当させると明らかにしており、イスラエルとパレスチナ側の和平の実現に意欲を示しています。一方で、トランプ大統領はイスラエルとパレスチナ側で帰属をめぐる対立が続くエルサレムにイスラエルのアメリカ大使館を移転させると公言するなどイスラエル寄りの立場を鮮明にしており、和平の枠組みを崩壊させかねないとして国際社会からも懸念の声が上がっています。